クリス・ポール

「これまで経験した中で最も屈辱的な出来事の一つ」

クリッパーズは、クリス・ポールが長年背負ってきた背番号『3』を、今シーズンからブラッドリー・ビールに与えることを決めた。ポールがチームを去った2017年から彼が復帰した昨夏まで、誰もこの『3』のジャージーには袖を通してこなかった。

ビールはクリッパーズ加入当初、ポールがまだ現役でロスターに残っていたことへの敬意から背番号『0』を選ぶことを申し出た。そのポールが去った今、あらためて『3』を着けることを決めた。

ファンの反発が強いのは、この番号が単なる空き番号ではないからだ。ポールは今年2月、ローレンス・フランク球団社長から「この番号はいずれ永久欠番にする」と伝えられていたと明かしている。今回ビールが3番を着けても、しかるべきタイミングでポールの永久欠番にすることは可能だが、ファンからは「フランチャイズのレジェンドへの新手の侮辱」との声が挙がっている。

そもそも、ポールのクリッパーズでの最後そのものが、レジェンドに相応しいものではなかった。ポールは現役の最後を古巣で締めくくるべく、昨夏に1年契約で復帰を果たしたが、シーズン半ばの遠征先アトランタで、突然チームから自宅に戻るよう告げられ、契約解除を言い渡された。フランク球団社長は「クリス・ポールとは決別し、彼が今後チームに所属することはない」とだけ発表した。

ポール自身は先日公開されたポッドキャスト番組『Build or Break』の中で、「これまで経験した中で最も屈辱的な出来事の一つ」と、クリッパーズの仕打ちを振り返っている。ラストシーズンが中途半端な形で打ち切られ、有終の美を飾ることなく現役引退となったことは、ポールにとって許せないことだろう。

ポールはクリッパーズ在籍時、球団史上最多のアシストを記録し、ブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンとともに『ロブ・シティ』時代を築いて6年連続のプレーオフ進出を果たした、まぎれもない『クリッパーズの顔』だ。

ロサンゼルスでは長年レイカーズの陰に隠れ、2000年には『スポーツ史上最悪のフランチャイズ』とまで評されたクリッパーズにとって、2011年からのこの時代は、球団史上初めてバスケファンの『敬意』を勝ち取った期間でもあった。そうした意味を持つポールの『3』だからこそ、今回の一件はファンの神経を逆なでしている。

当のビールは反発を受け「彼はレジェンドだ。あの歴史とブランドは、誰にも触れられないし消せない」と投稿し、ポールの功績を軽んじる意図はないと釈明しているが、彼もまたファンの反発を食らうことからは避けられない。

サラリーキャップ問題を巡る前代未聞の処分や連邦捜査に揺れるクリッパーズだが、こうした細部でもファンの心情に配慮しない姿勢が透けて見える一件となった。