山本麻衣

WNBAと代表の役割の違いにアジャストできず

女子日本代表は『FIBAワールドカップ2026』をベスト8決定戦敗退で終えた。グループフェーズ初戦のマリ戦は100点ゲームで勝利したが、続くドイツ戦、スペイン戦、そして決勝トーナメントでのハンガリー戦と、敗れた3試合はすべて63得点以下のロースコアに抑え込まれる力負けだった。

欧州勢の組織的なディフェンスに持ち味の3ポイントシュートを抑え込まれたことに加え、日本にとって大きな誤算となったのは、得点源の山本麻衣が本来のプレーを見せられなかったことだ。

『FIBA女子アジアカップ2023』から日本代表の主力へと定着した山本は、2024年の『FIBA女子オリンピック世界最終予選』では平均32.1分のプレータイムで17.0得点、3ポイントシュート成功率64.3%と大活躍だった。また、今年3月に行われた『FIBA女子ワールドカップ最終予選』でも5試合で20.9分のプレータイムで15.0得点、3ポイントシュート成功率50.0%と、エーススコアラーとして活躍した。だが、今大会は3ポイントシュート成功率38.1%こそ見事だったが、得点は4試合で平均8.0得点に留まり、2ポイントシュートの成功率は18.2%と持ち前の爆発力を披露することができなかった。

山本は8月にWNBA屈指の強豪エーシズと契約。シーズン途中での加入という難しい状況の中でローテーション入りし、素晴らしいプレーを見せている。だが、日本では所属チーム・代表チームで共に攻撃の起点だったが、WNBA優勝候補のエーシズでは当然エースムーブは任されず、周囲がお膳立てしてくれたチャンスを決め切ることが仕事となった。

山本本人もチームも、この変化については十分に理解していただろう。だが、WNBAがシーズン中のため大会直前となった合流のタイミングも踏まえ、不慣れなことにアジャストしきれなかったのが事実だ。山本はこう振り返る。

「やっぱりリズムをつかみきれなかったところはあります。自分の仕事は明確でしたけど、(エーシズの時と)役割が変わることにしっかり対応するため、マインドの部分から全部変えなければいけなかったことはちょっと難しいところもあったと思います」

山本にとって、今回のワールドカップは個人としてもほろ苦い結果になった。だが、これはWNBAという世界最高峰の舞台に到達したからこそ生まれた試練と言える。「ポジティブに考えれば、これまでと違うレベルに行けたからこその問題と思います。これから、もがきながらレベルアップしたいと思います」と語るように、彼女なら今回の苦い思いをさらなる成長へと繋げてくれるはずだ。

山本麻衣

「どんな状態でも誰かが爆発するカルチャーを」

1つ上のレベルに到達したからこそ新たな課題が出現した山本個人と違い、日本は武器である3ポイントシュートが不発な時のゲームマネジメントについて有効な打開策を見いだせておらず、停滞感も大きい。山本は3ポイントシュートの重要性を強調しつつも、より柔軟性を持った戦い方が求められると考えている。

「マリ戦以外は、もどかしさを感じてばかりの試合でした。3ポイントシュートが入らない時でも空いたら打つのがコーリーのコンセプトで、打ち切ることは必要です。ただ、自分たちのスタイルを信じてやり続けることは大事ですが、(状況に応じて)コツコツと得点を重ねていくことも大事です。そして我慢しながらチームで守ることが、世界と戦うために必要なことだと思います」

山本は「日本のような本当に小さいチームが世界で勝つには、3ポイントは絶対的に必要です」と続け、チーム全員がより強い気持ちでシュートを狙っていくことの大切さについても語る。「どんな状態でも誰かが(3ポイントを連続で決めて)爆発するようなカルチャーが根付いていくように、マインドセットの部分もレベルを上げないといけない。みんなシュートは本当に上手です。マインドの大切さについては、これから自分が経験し吸収することを伝えていきたいです」

これから山本はすぐにエーシズに合流し、プレーオフの大一番を迎える。レギュラーシーズンとは別次元の激しい戦いでこれまでのようにプレータイムを得られるかは不透明だが、わずかな時間でもコートに立てれば大きな収穫となる。山本の世界を舞台にした熱い戦いはまだ終わらない。