大学の先輩たちがBリーグ行きを後押し

川崎ブレイブサンダースは、8月29日と30日でプレシーズンゲームを実施。仙台89ERS戦は83-83、千葉ジェッツ戦も105-105と、2試合とも引き分けという異例の結果になった。

川崎の新戦力ジェイデン・リディは、持ち前のフィジカルを生かしたリムアタックによって着実にシュートを沈め、2試合連続で20得点以上を記録。特筆すべきは、ファウルを受けた回数も2試合続けて2桁をマークしたことだ。もちろんプレシーズンであることを差し引く必要はあるが、近年の川崎に欠けていた、ファウルをもらえる能力の高さを示したことはチームにとってプラス材料となった。

仙台戦後の取材でリディは、「ファンの皆さんの前で、本番と同じ雰囲気でプレーするのは特別です。チームとしてはハードにプレーができましたし、個人的にはまずまずのプレーができました。ただ、周りとプレーを合わせるタイミングなどアジャストが必要なところはあります。イージーシュートも何本か外してしまいました」と振り返る。

そして自身のプレースタイルについて、的確な状況判断でアドバンテージを生かすことを強みに挙げる。「もし、相手が自分よりサイズがあっても、スピードで上回ることで抜き去ることができますし、相手が自分より小さかったら、ポストアップで勝負できます。とにかく状況に応じてチームが必要としているプレーをするのが、僕のプレースタイルです」

27歳のリディは、サンディエゴ州立大3年時に主力の一員としてNCAAトーナメント準優勝を達成。4年時は1試合平均20得点以上を挙げる絶対的なエースとして、チームをトーナメント16強に導き、大学界屈指のパワーフォワードとして名を馳せた。その後、Gリーグ、ドイツ、中国を経て川崎に加入した。

今回、Bリーグ行きを決断した背景として、「同じサンディエゴ州立大出身で昨シーズン、プレーしていたトレイ・ケル(宇都宮ブレックス)やヤニー・ウェッツェル(秋田ノーザンハピネッツ)の存在が大きいです。彼らはBリーグの素晴らしいところをたくさん教えてくれました。トレイとはよく話しをしていますし、この夏も数回会いました」と、大学の先輩の勧めが大きかったと明かす。

「川崎が素晴らしいオファーをしてくれて、大学の仲間から聞いていた素晴らしい話を踏まえれば迷いはなかったです。実際、川崎は素晴らしい場所で8月6日に日本に来てからずっとハッピーな時間を過ごせています」

「アリーナの中はずっと大きなエネルギーに満ちていました」

Bリーグは他の国のリーグとは違う特徴を持っていると評されることが多く、リディもこのようにBリーグの印象を語った。「これまで自分がプレーしてきた中国とヨーロッパが少し混ざったような感じかもしれないです。ヨーロッパは規律の取れたディフェンス主体で、中国の試合は本当にペースが速かったです。Bリーグは、この両方の良い部分がミックスされていると感じます。今回対戦した仙台もよく走り、オフェンスではフロアを広く使い、デイフェンスはしっかりとギャップを埋めていました」

そして、これからプレシーズンを重ねていくことで、Bリーグの環境にできるだけ慣れたいと意気込んだ。「まずは試合でのフィジカルコンタクトの強さにアジャストすることが大切で、まだ確信が持てていない部分がいくつかあります。僕にとっては新しいリーグで、異なるルールやプレースタイルに適応していかないといけないです」

また、今回はリディにとって初めてファンの前でプレーする機会となったが、「本当に素晴らしかったです。アリーナの中はずっと大きなエネルギーに満ちていました。相手に流れが行きかけた時も常に僕らの背中を押してくれました。最後まで応援を続けて、愛を見せてくれていました」と川崎ファンの熱狂的な応援に感銘を受けていた。

この『エネルギー』こそ、リディが選手として大切にしている芯の部分だ。「僕は負けず嫌いな選手で、コートに出る時は常に良いエネルギーと情熱を出して、それが他の選手たちに伝播してくれればと思っています。エネルギーは自分たちの意志でコントロールできると思うので毎日、出していくだけです」

リディの攻守におけるハッスルプレーはコート上で大きなエネルギーを生み出す。これはチームメートだけでなく、観客にも伝わることで応援の熱狂度はより増していく。そんな理想的な関係の片鱗は、プレシーズンでもすでに垣間見えていた。