
「本当に久しぶりに良いショットが決められました」
八村塁と河村勇輝らNBA組が合流し、選手層に厚みを増した男子日本代表は『FIBAワールドカップ2027アジア予選』Window4の2試合をともに100点ゲームで連勝した。
八村は2試合平均29.5得点、河村は9.5アシストと、それぞれが強みを発揮してチームを牽引したが、彼らに引っ張られるように圧倒的なシュート力を披露したのが富永啓生だ。富永はWindow3では平均4.0得点、韓国戦では1本もシュートを打たずに終わったが、今回の2試合では18.5得点、3ポイントシュートは9本中6本を沈めてみせた。
カタール戦の第1クォーター終了間際には相手ディフェンスが詰め寄る状況から、体制を崩しながらも3ポイントシュートを決めるなど、本来の積極的な姿を取り戻した。本人も「代表では本当に久しぶりに良いショットが決められました」と振り返り、これをきっかけにさらに自分らしいプレーを出していきたいと語る。
「良い波に乗っていければ自分らしいプレーがもっと出てくると思うので、消極的になりすぎずに自分らしさを全開に出してやっていけたらと思います」
八村や河村が復帰した日本代表は、桶谷大ヘッドコーチが志向する『各選手の尖った個性を最大限に生かす』バスケットを展開するために一人ひとりの役割が変化したが、富永は役割が変わることと個性を消すことを履き違えなかった。「もちろん(八村と河村が)いる時といない時で、少し役割は変わってくると思いますが、自分の強みを無くさないことは意識していました」
その姿勢は結果にも表れ、自らが得点面でチームを引っ張った。「塁さんがベンチに下がった時に、自分が起爆剤となって引っ張っていくべきというのは自分でも分かっているので、この2試合は結果として示すことができて良かったと思います」
そして現在の日本代表は、チームとしてのメンタリティにも変化が生まれていると言う。「絶対に負けてはいけない、なんなら接戦もしてはいけないというメンタリティが、今の代表では築かれています。プレッシャーはありますが、自分たちはできると信じていますし、良い方向に進んでいます」
接戦に関して具体的な点差の目標があるわけではないが、アジアNo.1を示すためにも圧倒して勝つことを意識していたという。
こうした意識の変化は、NBA組がもたらしてくれた恩恵と話すが、受け入れるだけでなく、国内組がこれから高め合っていかなくてはいけないと富永は考えている。「Bリーグの選手がしっかりと成長して、代表にまた戻ってきた時に、より強い日本を見せたいです」
富永自身もアメリカのNCAAディビジョン1チームで先発を勝ち取った経験もあり、強い意志を持ってプレーすることの大切さを学んできている。今回、彼らとともにプレーしたことで積極性を持ち続けることの重要性を再認識させられたことが、今回のスタッツにも現れた。強力な個を持つ選手が揃うからこそ、自分自身も積極性を保つことでチームに新たな選択肢を与えられることができる。富永も自分らしさを貫いていく覚悟だ。
「これからもっと対戦相手のレベルも上がってくるので、このパフォーマンスもしっかりとキープしないといけません」と、現状に満足することはない。「ここでホッとするのではなくて、もっともっと上を目指して頑張っていきたいです」
昨シーズンのBリーグでは、日本人選手トップのスコアラーとなって、今シーズンも所属するレバンガ北海道ではチームのファーストオプションを担うことが予想される。日本代表と与えられる役割は違うが、自分の個性を積極的に生かすことがさらなるレベルアップに繋がるはずだ。次回のWindow5は八村と河村がNBAのスケジュールの関係で欠場が見込まれる。国内組のみの日本において富永のオフェンス力は貴重な武器となる。彼のさらなる覚醒に期待したい。