
「常に世界を見据えながら戦っていく必要がある」
男子日本代表は8月31日、『FIBAワールドカップ2027アジア予選』Window4の第2戦でカタールと対戦し、123-70で大勝した。サウジアラビア戦に続く快勝で、このWindowを2連勝で終えた日本は、八村塁、河村勇輝、渡邊雄太といったNBA経験者の活躍もありグループFの首位に。本戦出場権獲得の可能性を大きく引き上げた。
カタール戦で10アシストを記録した河村は、サウジアラビア戦(9アシスト)に続いて周囲の選手を生かすゲームメークを徹底した。試合の立ち上がりに馬場雄大のコーナースリーに合わせると、同じプレーコールから八村の長距離砲を膳立てするなど、相手のディフェンスを見て効果的なオフェンスを演出し続けた。
「今回はかなりチームのタッチも良いですし、個々の選手たちをしっかり気持ちよくプレーさせてあげることが自分の役割だと、この2試合をこなしながら感じていました。(個人として)シュートアテンプトは4本でしたが、100点ゲームができたのは一人ひとりがしっかりと役割を担った結果だと思います」
これまでは河村やジョシュ・ホーキンソンの得点力に頼る場面も多かったが、今の日本は無理に打開する必要がなく、河村も「(今のメンバーは)引き出しが多いので、逆に選択肢が多くてどうしようかなと迷うほどで、贅沢な悩みですね」と言う。
チームオフェンスを遂行することで、ディフェンス面にも良い影響を与えているようだ。「ソリッドにディフェンスをすることを心がけている」と語っていた河村は、第1クォーターで2つのファウルを取られたが、レフェリーとコミュニケーションを取ってアジャストすると、フィジカルにマークマンを守り、5秒バイオレーションを奪う場面も見られた。しかし河村は、そのプレーを自分のディフェンスによる成果とは考えていない。
「僕だけじゃなくて全員がしっかりとディナイして5秒を取れたということは、チームの良いディフェンスだったということです。良い努力だったと思うので、そこがすごく個人的にはうれしかったです」
ボールマンがドリブルを止めた瞬間、コートに立つ全員が連動してディナイを遂行できたのは、オフェンスでボールをシェアすることで生まれた一体感の産物でもあった。個を生かしつつも依存しないスタイルにチームを昇華させられたことは、河村と八村という強烈な個が合流したこのWindowの最大の収穫だ。
今後はグループ上位のレバノンとの対決も控えているが、主軸となった河村と八村がNBAのスケジュールの関係上、次のWindowに参加することは厳しい状況となっている。それでも河村は「アジアで満足することなく、常に世界を見据えながら戦っていく必要がある」と、高い視座でこの先のWindowを戦うメンバーにエールを送った。
日本の目標はワールドカップ本大会出場ではなく、その先にあるオリンピックで勝利を挙げること。今回のWindowで河村と八村がもたらしたのは、単なる戦力アップだけではない。世界を知る2人がチームに加わったことで、日本が目指すべき基準や一人ひとりの役割がこれまで以上に明確になった。このスタンダードを日々意識することが、日本のさらなるレベルアップに繋がるはずだ。