
爆発的な得点能力を維持しつつ課題を克服できるか
ベネディクト・マサリンがペリカンズと2年1600万ドル(約24億円)の契約を結んだ。マサリンは2022年の1巡目6位でペイサーズに加わり、短い時間でも爆発的な得点力を見せるベンチスコアラーとして結果を出した。しかし、オンボールでの1対1で強みを発揮するスタイルはペイサーズのトランジションバスケにフィットせず、役割がシックスマンに限られることもあってキャリア4年目の昨シーズン途中にクリッパーズに放出された。
キャリアで初めての移籍でも、クリッパーズでのマサリンは17.6得点を記録してベンチからの得点源として存在感を発揮した。それでもクリッパーズにはロスター枠に空きがなく、サラリーキャップも逼迫しているため、マサリンの望む大型契約は提示できず。バックスやブルズがマサリンの獲得に動いたとされるが、サイン&トレードでの獲得には最低3年以上の本契約が必要で、マサリンが望む大型契約はリスクが大きすぎた。
一方のペリカンズはミッドレベル例外条項を残しており、ラグジュアリータックスを回避しつつ今回のオファーをマサリンに提示できた。2年1600万ドルで、2年目はプレーヤーオプションという契約により、マサリンは自分の実力をあらためて示した上で、来年オフに契約2年目を破棄して完全フリーエージェントになることができる。クリッパーズもマサリンの意向を汲み、880万ドル(約13億円)のクオリファイングオファーを撤回した。
今はどのチームにもサラリーキャップの余裕がない状況で、ペリカンズへの加入はあくまで『繋ぎ』。マサリンは来年のフリーエージェント市場に賭けることを選んだ。
ただし、その道のりは決して平坦ではない。来年夏でも彼は25歳と若く、放映権バブルを受けて各チームのサラリーキャップが引き上がるタイミングとなるが、今の制度がスター選手は優遇され、伸び盛りの若手に厳しい状況は変わらない。
そして彼が大型契約を得るには、自分の強みで勝負するのではなく、弱点の解消が求められる。マサリンは試合展開にかかわらず、どのタイミングで投入しても短期間で得点を荒稼ぎする能力を持つが、課題も明確だ。リック・カーライルの粘り強い指導にもかかわらずオフボールの動きの質を上げられず、ディフェンスでも集中を欠く場面がある。さらに昨シーズンは得点こそ稼いだがクリッパーズでのシーズン後半の26試合での3ポイントシュート成功率が20.7%と落ち込んだ。
ペリカンズでもトレイ・マーフィー三世とハーブ・ジョーンズとの交代で入るウイングとしての起用が予想されるが、これらの課題を解消しなければ先発では使いづらく、ベンチからの得点源では年俸2000万ドル(約30億円)超えの複数年という大型契約は手に入らない。
ペリカンズの新たな指揮官、ジャマール・モズリーはハードワークと規律を高いレベルで選手に求める。まずは彼の信頼を勝ち取るところから、マサリンの挑戦はスタートする。