「大会を重ねるごとにコーリーのやりたいことは浸透しています」
東藤なな子は9月4日に開幕する『FIBA女子ワールドカップ2027』のロスター12名に選出された。東藤が主要大会に出場するのは東京オリンピック、女子ワールドカップ2023、パリオリンピックに続いてで、日本代表に欠かせない存在となっていることをあらためて示している。
8月13日、14日に行われた韓国代表との強化試合の2試合目、78-77で辛くも勝利した後、東藤は次のように自身のプレーを振り返っていた。
「韓国のプレッシャーが強く、相手にエナジーのところで上回られた中で、ちょっと迷ったプレーをしてしまったところが何回かあったのは反省です。それでも自分の役割を遂行しようと、オフェンスリバウンドに行ったり、ルーズボールに飛び込んだところは良かったと思います」
この2試合、東藤は初戦が2得点1アシスト、2試合目が4得点3リバウンド2アシストと、スタッツで目立ったところはなかった。だが、2試合ともに先発起用だったことは、コーリー・ゲインズヘッドコーチの信頼が厚いからこそで、今回の代表入りも順当と言える。
ゲインズヘッドコーチは、12名のメンバー選考において「求めているのは特別なモノ。教えられないモノを持っている選手」と語っていた。その上で、東藤ならではの特別な個性はフィジカルの強さを生かしたディフェンスやハンドラーも担えるオールラウンダーな部分と、痒い所に手が届くサポート能力の高さだ。
田中こころや山本麻衣ら得点源のプレッシャーを攻守両面で軽減できる東藤の存在は、スタッツに出ない部分にこそ本質がある。自身も「最後のフィニッシュでは、こころのようなクラッチシューターがいるので任せる部分もあります。ただ、自分はハンドラーもできますし、チームが苦しい時に自分の引き出しの中から適切なプレーをすることが助けになると思います。その意識は忘れないようにしています」と、縁の下の力持ちの役割を大切にする。
そして、ゲインズヘッドコーチ体制の発足時から代表に選ばれ続けている東藤は、チームの底上げに手応えを感じている。「大会を重ねるごとにコーリーのやりたいことは浸透しています。日本がこれから強化していかないといけない部分をスタッフ陣は明確に提示してくれています。その課題に全員が向き合って合宿を重ねてきました」
だからこそ、強化試合を終え本番まで約3週間という段階で、「結構合宿をやってきたので、早く本番を迎えたい思いもあります。まだこれから自分たちが強くなれる時間はありますし、チームの雰囲気はすごく良いので、ワクワクしています」と、ポジティブな言葉が出てくる。
本大会で東藤がチーム上位の個人スタッツを残すことはないかもしれない。だが、オフェンスリバウンドやルーズボール、ドライブからの得点やキックアウトといった、東藤の多才さを必要とする時間帯は必ず来る。
