
手薄なベンチにミッドレンジの得点力をもたらす
デマー・デローザンがナゲッツと1年390万ドル(約5億9000万円)で契約合意に達した。6度のオールスター選手がベテラン最低保証額に近い金額でのプレーを受け入れた形だが、37歳を迎えたデローザンにとって、優勝を争える環境に身を置く決断でもある。
デローザンがフリーエージェントとなった経緯は、キングスの台所事情によるものだった。2026-27シーズンの契約額2570万ドルのうち保証されていたのは1000万ドルのみで、キングスはコスト削減のためにデローザンを解雇。ヒートやウィザーズ、ペリカンズも興味を示す中、デローザンが最終的に選んだのはナゲッツだった。
ナゲッツがデローザンに示した誘い文句は明快だ。ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーという2枚看板を脇から支える役割。ペイトン・ワトソンをキャバリアーズへ放出したことで生まれたロスターの空き枠と、優勝を狙えるチーム状況こそが、デローザンの心を動かした決め手だ。
デローザン獲得の背景には、ナゲッツが抱える『ベンチの薄さ』という積年の課題がある。ヨキッチとマレー、2人のマックス契約を抱えてサラリーキャップに余裕がなく、優勝した2022-23シーズンにはブルース・ブラウンが機能したものの、一昨シーズンのラッセル・ウェストブルック、昨シーズンのティム・ハーダウェイJr.とシックスマンはチームに定着できず。どうしてもヨキッチとマレーを過度に酷使することになり、彼らが年齢を重ねるにつれて厳しさは増していた。
デローザンは昨シーズンのキングスで平均18.4得点、2.9リバウンド、4.1アシストを記録し、フィールドゴール成功率は49.7%。過去5シーズン連続で74試合以上に出場してきた頑健さも含め、ナゲッツのセカンドユニットにとってこれ以上ない補強といえる。
もっとも、デローザンがベンチから出場したのはデビュー間もない時期だけで、シックスマンとしてどれだけ機能するかは未知数で、それ以上にラプターズを離れてからの8年間でプレーオフ進出はわずか2回と『勝てないチーム』で過ごす時期が長く、優勝を狙うナゲッツでどこまでやれるかの懸念はある。
それでも、ミッドレンジを主戦場とする彼の得点力とプレーメーク能力は、ヨキッチやマレーを休ませる時間帯にもオフェンスの流れを止めない『保険』として十分に機能するはずだ。
優勝経験のないデローザンがキャリア終盤でつかんだ今回のナゲッツ入りは、これまでとは違う景色を見るための最後のチャンスとなる。