「合わせていけば、世界で通用するプレーが生まれる」
女子日本代表は昨日、さいたまスーパーアリーナにチャイニーズ・タイペイを迎えた国際強化試合で91-59の快勝を収めた。
この日、一番注目を集めていたのが日本代表として久々にコートに立った渡嘉敷来夢だ。「久しぶりの代表戦ということで少し緊張しましたが、個人的な出来としては悪くはないと思います」と本人が言うように、この試合で10得点7リバウンド4アシストの活躍を見せた。
中でも渡嘉敷のリバウンドからトランジションに持ち込み、チームが目指すスタイルの起点となる働きぶりが光った。本人も「みんなの走るバスケットに繋がるように、しっかりとリバウンドも取れていた」と手応えを口にする。
さらに印象的だったのが、プレー面ではもちろんだが、試合中にも自ら声を出してチームを鼓舞する姿だ。渡嘉敷のリーダーシップにはヘッドコーチのトム・ホーバスも「今はリーダーシップもすごくある。吉田(亜沙美)と大崎(佑圭)がいなくなって、年上はリツ(髙田真希)とソウ(藤髙三佳)の2人だけで、彼女もお姉さんになった。タク(渡嘉敷)とは長い間一緒にやっているから、僕のバスケと考え方をよく知っています。僕が怒る前にみんなに『ちょっと集まって』って言っているんですよ、それはすごく良いことです」と、褒め称えた。
渡嘉敷は言う。「大崎さんや吉田さんがいなくてマイナスだとは思っていないです。逆にこれからチャンスがたくさんありますし、今のポイントガードの2人も、他の若い選手もたくさんいるので、そういった選手と合わせていけば、必ず世界でも通用するプレーがたくさん生まれると思います。今すぐにとは思わないけど、失敗を重ねてコミュニケーションをうまく取ることによってレベルは確実に上がっていると思います」
指揮官ホーバスも称賛「タクが入ってやっぱり良い」
代表チームに合流したばかりの頃は「チームのシステムを覚えるので精一杯で、みんなについていくのに必死」と話していたが、今は「だいぶ慣れてきました」と、実戦での好パフォーマンスもあって表情にも余裕が出てきた。
ホーバスヘッドコーチも「タクが入ってやっぱり良いですね。ディフェンスも素晴らしくて、特にペイントエリアでのディフェンスもすごく良い」と、渡嘉敷に信頼を寄せている。
世界に通用する高さとスキルを備えた『日本のエース』渡嘉敷の復帰は、日本代表にとって確実にプラスになる。それでも本人は「今の現状に満足することなく、一つひとつしっかりとレベルアップしていきたい」と、常に高いレベルを求める。
東京オリンピックでの金メダル獲得という目標を達成するには、チームはもちろん渡嘉敷のさらなる成長が欠かせない。順調な代表復帰を果たした渡嘉敷は、日本代表にさらなる刺激を与え、化学変化を起こしてくれそうだ。