写真=Getty Images

ウォリアーズはイグダーラとリビングストンの慰留にも成功

ステフィン・カリーと5年2億100万ドル(約235億円)の『スーパーマックス契約』を結んだウォリアーズが、今度は同じくフリーエージェントのケビン・デュラントとの新契約もまとめた。デュラントは2年目のプレーヤーオプションを破棄し、フリーエージェントになった上で、ウォリアーズとの新たな契約にサインしている。

驚くのはその内容で、2年5300万ドル(約59億円)。デュラントは単年3400万ドルまでの契約を結ぶことができたが、ウォリアーズ残留を第一優先として条件面で大幅に譲歩した。ただし2年目はプレーヤーオプションで、来夏には再びフリーエージェントになる見込み。

直近の例を挙げると、ナゲッツに移籍したポール・ミルサップが3年9000万ドル(約100億円)、ラプターズと新契約を結んだカイル・ラウリーが3年1億ドル(約112億円)、クリッパーズ残留を決めたブレイク・グリフィンが5年1億7500万ドル(約196億円)。加入1年目からエースとして活躍し、ファイナルMVPにも輝いたデュラントがこの金額で契約してくれたことで、ウォリアーズの『やりくり』は相当楽になった。

ウォリアーズはアンドレ・イグダーラと3年4800万ドル(約54億円)、ショーン・リビングストンと3年2400万ドル(約27億円)、デイビッド・ウェストと単年230万ドル(約2億6000万円)で契約し、NBA優勝チームのメンバーを残留させている。

デュラントはウォリアーズでの環境や一緒に働く仲間に満足しており、10億円近い収入減を承知で残留を決めた。これはウォリアーズにとっては編成の勝利であるが、ライバルチームにとっては極めて厄介な話。また「どこが優勝してもおかしくない」戦力均衡のためにサラリーキャップやドラフトを導入しているリーグにとっても、ウォリアーズの『1強』がさらに進むことは歓迎できない事態だろう。

ただ、ウォリアーズもデュラントもルールの中で自分たちにベストな解決策を選択したわけで、ここからはライバルチームのさらなる努力が求められる。ジェームズ・ハーデンとクリス・ポールがコンビを組むロケッツ、同じくラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージの新デュオが誕生したサンダーも、打倒ウォリアーズを果たすにはさらなる補強が必要と判断するだろう。またここまで控え目なスパーズも、黙ってはいないはず。

『1強』ウォリアーズを倒すためにライバルチームが切磋琢磨する。こうして西カンファレンスが、そしてリーグが一層盛り上がるのであれば良い。