齋藤拓実

「自分が出てリードがマイナスにならなかっただけでも良かった」

男子日本代表は8月16日に行われた韓国代表との強化試合第2戦を95-66で圧勝した。日本は初戦を88-68で制したが八村塁、西田優大、富永啓生がコンディション不良や負傷を理由に2戦目を欠場。それでも、攻守に渡るアグレッシブなプレーで中心選手の不在を感じさせず、立ち上がりで韓国を突き放す余裕の勝利だった。

この快勝で特に目立ったのは河村勇輝、富樫勇樹、齋藤拓実、佐々木隆盛のポイントガードカルテットだ。西田、富永の欠場で2番ポジションの本職が高島紳司のみとなる中、日本は河村、佐々木を先発起用するなど、司令塔を併用するツーガードを多用。そして、河村の24得点3アシストを筆頭に佐々木が17得点4アシスト、富樫が12得点1アシスト、齋藤が10得点4アシストと、4人全員が2桁得点とベンチの期待に応えたことが快勝劇に繋がった。

桶谷大ヘッドコーチは、起用法の意図をこのように語る。「2番ポジションの選手が体調不良でいなかったところがあります。その中で、オフェンスでどう打開していこうかコーチ陣と話し合って『やっぱりツーガードが良いよね』となりました。ポイントガード1人でもいけると思いますが、オフェンスでボールがよく回り、効率良く攻めることを考えた時、ハンドラーが2人いる時に一番良いオフェンスができていました。(オフェンス担当の)ライアン(リッチマンアシスタントコーチ)のバスケットにも合っていると思いますし、今日はチャンスがあったのでツーガードを使う形にしました」

初戦の齋藤は9分17秒出場で0得点2アシストと、不完全燃焼に終わった。しかし、第2戦では持ち味のピンポイントパスで味方の得点チャンスを生み出し、守備の隙を突いて自らも得点と彼らしいプレーを披露した。桶谷体制では先発起用が続いていた齋藤だが、河村の合流に伴いベンチスタートに。初戦は先発が立ち上がりで奪った大量リードを、齋藤を含むセカンドユニットの時間帯に大きく減らした。第2戦も13-2と先制パンチに成功したが、齋藤はこのリードをしっかり維持できたことに、まずは安堵した。

「昨日に続いて、先発で出てくれたメンバーが完璧と言っていいスタートで、流れを作ってくれました。そして昨日と違ってセカンドユニットが、流れを渡さずにやれて良かったです。セカンドユニットで出る立場としては、ああいう見事なスタートの後は、(しっかり繋げないといけないと)メンタル的にタフになります。自分が出てリードがマイナスにならなかっただけでも良かったです」

齋藤拓実

ツーガードは「お互いに負担を減らすことで、良い関係性をみんなで作れている」

慣れないベンチスタートについても、「相手がどういうことをやっているのか先にベンチから見られるのは、セカンドユニットでプレーする強みになると思います」と利点があると語り、アジャストに問題はない様子だ。

そしてツーガードへの手応えをこう続ける。「今日は西田、富永が出られないことで、ツーガードの時間が増えることは予想していました。ハンドラーをできる選手がコートに2人立つことで、テンポアップができます。そして最初のアクションを止められても、次の動きでハンドラーがクリエイトできる強みを、試合を通せて示せたのは良かったです。お互いに負担を減らすことで、良い関係性をみんなで作れていると思います」

今回、ポイントガードの4名がそれぞれ結果を残したことで、『FIBAワールドカップ2027アジア予選』Window4に向けたポジション争いは激しさを増した。12名のロスター枠の内、これまでポイントガードの枠は3名で、従来通りだと1人が選外となる。齋藤は、このポジション争いに向けて首脳陣にアピールしたい自身の強みと、自分が高めていくべき課題をこう見ている。

「桶さんもよく言っている『生産性のあるバスケット』を展開するところで、オフェンスでは味方がリバウンドを取ってアウトレットパスをもらった時、フロア全体を見てどこにアドバンテージがあるのかをしっかり把握する。そこからパスを前に出していくのか、フローオフェンスに入るのかの判断が僕の一つの強みになると思います。今日、他のポイントガード陣は3ポイントシュートだったり、シュートの精度がすごく高かったです。僕ももっと精度を高くしないといけないと感じています」

ワールドカップ2027アジア予選が始まってから、齋藤は先発ガードとして確固たる地位を築いた。その彼でもロスター入りへ危機感を感じていることが、日本のガード陣の層の厚さをなによりも示している。