「自分としては物足りないというか」
バスケットボール男子日本代表の韓国との国際強化試合第2戦。第3クォーター終了のブザーと同時に放たれたシェーファーアヴィ幸樹の3ポイントシュートがリングを射抜いた瞬間、ベンチを含め、会場は歓喜に包まれた。チームメートたちが総立ちで出迎える中、当の本人の表情は晴れない。周囲の盛り上がりとは対照的に、冴えない顔つきでベンチへ戻っていった。その理由はそれまでの自身のパフォーマンスに納得がいっていなかったからに尽きる。
「僕はちょっとうまくいっていない感じだったので、あまり喜んでいなかったですね。自分としては物足りないというか。うまく行かなかった部分が目立ってしまった印象はあります」
試合後、本人が口にしたのは自身への厳しい評価だった。オフェンスでは愚直にスクリーナーとして身体を張り、インサイドへダイブすることで相手ディフェンスを収縮させ、アウトサイド陣の好調な3ポイントシュートをお膳立てした。後半の限られた出場時間でリードを広げる役割も果たし、「最低限の仕事はした」と語るものの 、シェーファーは自身の課題に目を向ける。
「(物足りない部分は)もうすべてですね。リバウンドを取り切り切れないところだったり、最後の玉際の弱さだったり。インサイドのフィニッシュも今日はポロポロ落としてしまいました。あとは他の選手がどういう意図でやりたいのかをもっと理解して、彼らがやりやすいように動くっていうところ。そこは完璧にできることはないので、満足することはないですけど、そういうところはもっと良くならなきゃいけないと思っています」
ビッグショットの直後に喜ばず、プラスよりもマイナスな面にフォーカスするのは、自身の目指す基準が高いから。「良いプレーをしても『まだまだ』という感じ。自分自身で満足することはない」と、以前から持ち合わせている貪欲さを覗かせた。

八村塁との関係性「同期で一番いじりやすい」
シェーファーはモンゴル代表との強化試合を経て、コールアップされ今回の韓国戦でロスター入りした。久しぶりの合流となったチームでは、NBA組の八村塁や河村勇輝の存在もあり、どこか緊張感が漂う場面もあったという。重圧のかかる代表チームにおいて、コート外を含めた選手間のコミュニケーションは大切であり、そこでもシェーファーは一役を買っている。シェーファーと八村は同い年で世代別代表で共闘してきた。また、第2戦をコンディション不良のため欠場した西田優大も、U19ワールドカップをともに戦った仲だ。
「特に塁は久しぶりの代表で、雰囲気的に少しピリッとなってしまう時もあります。でも、僕は同期で一番いじりやすいというか、話しやすいと思うので、そういった面も含めてチームの雰囲気を良くできている実感はあります」
周知のとおり、八村は第1戦でゲームハイの22得点を挙げ、韓国に快勝する立役者となった。彼にとっては普段通りのパフォーマンスだったかもしれないが、自然体でいれたのはシェーファーの存在があったことも関係しているに違いない。そして、シェーファーは今後を見据え、八村との連携についても客観的な課題を口にした。
「特に塁ですが、今回の2試合は個人に頼る部分が多くなってしまった。塁だけに頼るのではなく、彼をうまく生かしつつ彼を囮にして僕らがどうアタックしていくか。チームとして戦うことということを良くしていきたい」
彼が言うように、特に第1戦は個の打開が多く、チームで崩したシーンはあまり多くなかった。ただ、八村と河村が出場する試合において、彼らの『尖った個』を前面に押し出すことは最も生産性が高い。このバランスの最適解を見つけ出すことが今後の日本の課題だが、コート内外で潤滑油となれるシェーファーはそれを解決する上でも貴重な存在になりそうだ。
