
今シーズン、山内盛久は地元の琉球ゴールデンキングスにBリーグ初年度以来の復帰を果たす。昨シーズン終了後に看板選手として14年間琉球に在籍した盟友の岸本隆一が去った今、チーム創設時のカルチャーを知るベテランとして大きな役割を担うことになる。かつて共にプレーしていた永久欠番の名選手アンソニー・マクヘンリーを新指揮官に据え、新しい時代を迎える琉球を陰日向に支える山内に意気込みを聞いた。
「コミュニケーションをしっかり取って、チームをまとめていく」
――まず、琉球から3年契約でのオファーが来たことへの感想を教えてください。
隆一が去ったこともあり、「キングスの文化をもう一度、築き上げていくために力を貸してほしい」という思いがあってのオファーだと思います。正直、体力的にはしんどい年齢になってきているので、長くプレーすると決まったからにはしっかりパフォーマンスのレベルを上げていかないといけないです。
──岸本選手と入れ替わりになることを知った時はどう思いましたか?
本当に誰もが、隆一にキングスを去る選択肢があるとは思っていなかったんじゃないかなと。僕自身も、最初に彼から相談があった時は「嘘を言うタイプじゃないのに、ぶっこんできたな」と思いました(笑)。「嘘でしょ? そんなわけないでしょ」というところから段々と話をしていくうちに本当だと分かって、寂しさ、悲しさがあふれました。キングスに戻ることしか頭になかったですが、(岸本が移籍することで)正直オファーを受けるか、少し躊躇した部分はありました。
──大きなショックを受けた岸本選手の移籍があっても、琉球復帰を選択した一番の要因は何でしょうか?
一番はプロバスケットボール選手である前に、一人のウチナーンチュ(沖縄県人)として、キングスがこれまで築き上げてきたものを、自分が次の世代に繋いでいくチャンスにやり甲斐を感じたからです。隆一はいないので、自分が継承する役割を担っていけたらということで戻る決断をしました。
──自身が今シーズンの琉球で求められている役割をどのように考えていますか?
自分より小野寺(祥太)、ジャック(クーリー)、マツ(松脇圭志)のほうがファイナルを何度も経験して勝ちをよく知っています。この点については自分も彼らから吸収しないといけないです。ただ、そういった試合に臨む前のチーム作りの段階は、自分もこの9年間いろいろな経験をしてきました。コミュニケーションをしっかり取って、チームをまとめていくのは自分の強みだと思うので、そこはどんどん出していけたらと思います。

復帰を決めたもう一つの要因「マックを助けたい」
──対戦相手として琉球にはどんなイメージを抱いていましたか?
ずっと変わらず良いクラブだなと。毎年メンバーが変わってもキングスらしいバスケットを常にしていて、選手層の厚みやチームとしての成熟度が増していると感じていました。ただ、誰が悪いという訳ではないですが、勝ち続けて周囲の期待がより大きくなったことで、勝利至上主義の部分が少し強くなってしまった。それでキングスの昔からある良さが少し薄れてしまったところもあると感じていました。
今の選手たちにはもっと純粋にバスケットを楽しんでもらいたい。もちろんプロなので勝ちを求めるのが当たり前ですけど、勝ち負け以前の段階として、キングスの試合を見に来てくださった人たちに楽しんでもらうことが大切です。自分がいたころは、(会場がまだ小さくて声が聞きやすいこともあったが)試合が終わったら勝っても負けても「今日も良い試合だったね」、「明日もまた頑張ろう」みたいな感じの声を聞くことが多かったです。それが今は、Bリーグを代表する強豪となったことで、試合に負けて叩かれることも増えたし、選手たちの耳にもそういう声がやっぱり入ってきてしまう。そこで「勝たなければいけない」というプレッシャーばかりを感じて、楽しむ気持ちが薄れてしまった。それでキングスらしさも薄れてしまったとすごく感じています。
──2024-25シーズンには三遠ネオフェニックスの一員として、琉球とチャンピオンシップで激闘を繰り広げました。琉球と戦う時は、他のチームと気持ちの持ちようは違いますか?
すごく楽しかったです。チャンピオンシップで倒せるあと一歩のところまで追い詰めて、倒したい気持ちがある一方で、弱いキングスを見たくない自分もいる、みたいな。複雑な気持ちはありましたが、それを含めて楽しかったです。
──新しい指揮官は、かつて一緒にプレーしていたアンソニー・マクヘンリーです。彼の下でプレーするのは山内選手にとって特別なモノになりそうですね。
マック(マクヘンリー)はキングスに加入する前に少しコーチをやっていたので、将来的にヘッドコーチをやりたいという思いを持っていることは知っていました。まさかキングスの指揮官になるとは思っていなかったですけど、素質はあるので良いコーチになっていくと思います。自分が選手の立場から、マックを助けたいと思ったのもキングスに戻ってきた一つの要因です。選手同士ではなく、選手とコーチの立場で一緒に戦えることにはすごくやり甲斐を感じています。
マックは今でも彼が現役の時と同じ関係性のまま接してくれています。ただ、選手とコーチの関係である以上、そこには一つ線引きをして接しないといけない。昔から知っている自分がなれなれしく接してしまうと、他のメンバーも同じように接するようになってしまうかもしれない。そこは自分のほうで、指揮官という彼の立場にしっかりとリスペクトを持った接し方をしていきたいです。
──与那嶺翼、新城真司の両プレイヤーデベロップメントコーチも、かつて選手として一緒にプレーしたメンバーです。山内選手にとって2人の存在は大きいですか?
めちゃくちゃ安心感があります。自分のバスケ観や『キングスとは何ぞや』という考えを分かってくれている2人です。自分一人で引っ張ろうとしてなくても、彼らがコーチとしてキングスのカルチャーを伝えてくれることはすごくありがたいですし、やりやすいです。