B1初年度のシーズンを『2部降格』という最悪の結果で終え、「どん底まで落ちました」という田口成浩だが、もう気持ちを切り替え、新シーズンのB1復帰を至上命題に掲げることで前向きな気持ちを取り戻した。しかし、新シーズンに向けて始動するのはまだ少し先。この時期だからこそ、田口に「オフの過ごし方」を教えてもらった。
田口成浩が振り返る秋田ノーザンハピネッツのBリーグ初年度「少しの差が本当に大きかった、弱かったなあと思います」
秋田ノーザンハピネッツを1年でB1の舞台へ戻す、田口成浩の思い「一番最初に降格したので、一番最初に復帰したい」
富樫に誘われてハワイに行って、癒されてきました
──チーム始動までまだもう少しあります。せっかくの機会なので、田口選手のオフの過ごし方を教えてください。
この前は富樫(勇樹)とハワイ旅行に行きました。本当に仲が良いんです。ただ、ちょっと上からなんですよ。「代表で忙しいので、この日程しか行けないから空けといて」って(笑)。でもハワイで癒されて帰って来ました。トレーニングはちょいちょい始めましたけど、シーズン後半にやったケガが完治していなくて、走ろうと思ってもまだ痛みがあるので、ゆっくりトレーニングしながら治しています。
ハワイ以外は特に何をするわけでもなく、おいしいものを食べに行ったり、ゆるーい感じで過ごしています。シーズン中もオフにはおいしいものを食べに出かけたりはするんですが、やはりゆっくりはできないです。日曜の試合が終わってから行くか、月曜がオフなので朝早くから行くか。それにシーズン中だとやっぱり意識が張り詰めているんで、ゆるーい感じになれません。試合に負けた後だと落ち込んでいるわけですし(笑)。
──負けた時に深刻になりすぎたら精神的にもたないし、軽く受け止めすぎると今度は反省がない、という話になります。結果を良いバランスで受け止めるのも大事かと思いますが、田口選手はそのバランスはどうしていますか?
僕は受け入れる、というか受け止めます。真正面から現実をドーンと。富樫からも「お前、顔に出すぎだもんな」みたいな感じで言われるんですけど(笑)。「まあいいや、次だな」とは切り替えられないです。そういう人がうらやましかったりもしますね。
日曜にショックな負け方をしたら、その日は全力で引きずります。それで月曜になるべく切り替える。1回自分を落として、朝起きたところから上げていくんです。天気が良かったら買い物に行ったり、そんな感じでリフレッシュしながら自分の中でリズムを作っていきます。
自分の人気が実感できるようになってきました
──富樫選手の言う「顔に出すぎ」じゃないですけど、田口選手は試合中も感情が表情によく出るタイプで、そこが老若男女を問わず愛される理由なのかなと思います。
そうですかね。そうなのかな(笑)。
──喜怒哀楽を出さない選手には、応援する側も感情移入しづらいですよね。ちなみにもう秋田ではレジェンド級の人気なのだと思いますが、実感としてはどうですか?
あまり自分では言いづらいですけど、謙遜しすぎるのも失礼になると思うので言いますが、正直、有名になったという実感がわいてきました。秋田で6シーズンもプレーさせてもらっていますが、これも支えてくれる人たちのおかげです。今は普通に歩いているだけですぐ気づかれますね。イオンモールに行ったらパニックになる可能性もゼロではないです(笑)。
──Bリーグが始まって全国区での知名度も上がったと思います。
そうですね。秋田は常に多いんですけど、全国区のメディアで出させていただく機会が増えました。月刊バスケットボールさんもそうですし、朝日新聞さんでは井上雄彦さんと対談させてもらって、イラストまで描いていただきました。あとはテレビに出演したりファッションショーに出たり、一緒に出演している方々が僕からすればスーパースターなので、その方々と一緒にいるだけで秋田の人は食い付くところだと思います。
──……。
あっ、もちろんバスケット・カウントさんも。いつもありがとうございます!(笑)
「また田口がバカやってるな」でバスケが盛り上がれば
──Bリーグオールスターの3ポイントシュートコンテストは、ちょっとした映画ぐらい出来のいいストーリーでした。『千両役者』という印象が強いのですが、その自覚はありますか?
役者かどうかは分かりませんが、子供の頃から人を喜ばせたり笑わせるのが好きだったのは間違いないです。結局はただの目立ちたがり屋からきているんですけど、それが今でも見られていると思うと勝手にアドレナリンが出てくるんでしょうね。見られていると思うと「何をすれば喜んでくれるだろう」と自然に考えています。
「また田口がバカやってるな」と思われるかもしれませんが、それで楽しんでもらえれば、ついでにバスケットも見てくれるかもしれない。そうやってバスケットが盛り上がってくれたらいいな、というのは常に頭にあります。そういう意味でキャラクターを意識している面はあります。
まだまだバスケ人気は足りないです。例えばサッカーの本田圭佑選手であれば、奇抜な格好と自信いっぱいの発言で、サッカーを知らない人にもアピールできるだけの個性がありますよね。「この選手はこうだ」という個性が、バスケットボール選手にはまだ足りないです。その個性があればメディアでも取り上げてもらえると思うし、人気にもつながる。僕の場合、原点は「人を喜ばせたい、笑わせたい」ですけど、それが今につながっていると思います。
──それでは最後にファンへのメッセージをお願いします。
2部からのスタートになりますが、これも自分が掲げるサクセスストーリーだとポジティブに思っています。1年という期間は長いですけど、これでしっかり自分がチームを引っ張っていって試合に出て結果を残して、最終的に1部に上がれれば、これほどないドラマがまた生まれると思っています。
そこでもう1回成長したハピネッツ、そして田口成浩をお見せしたいです。
これから2部で自分たちの必死に頑張ってる姿を見て、「もっと応援したい、楽しみたいな」と思ってもらえるようなプレーをしていきます。これからそうなれるように頑張りますので、期待してください!
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