ケイレブ・ウィルソン

「このコートに立つことを、ずっと待ち望んでいた」

ブルズが1巡目4位で指名したケイレブ・ウィルソンが、デビュー戦となった現地7月10日のグリズリーズ戦で35得点を記録した。2004年のサマーリーグ創設以来、デビュー戦の得点としては歴代2位(1位は2007年のマルコ・ベリネッリの37得点)というインパクトある数字だ。

フィールドゴール21本中12本成功、3ポイントシュートは11本中7本と高確率で決め、大学時代は24試合を通じてわずか7本しか決めていないにもかかわらず、シューターとしての能力を見せ付けた。わずかなズレがあればクイックリリースで放つことができるし、自ら溜めを作ってステップバックでズレを作り出すこともできる。ミドルレンジでのプルアップや、ペイントを攻めて密集地帯で粘り強く得点を奪うシーンもあった。

「大学ではオフェンスのスタイルが違って、3ポイントシュートを打つなと言われていた。他の選手のためにチャンスを作るのも僕の仕事で、それがチームにとって成功の道だった。でも、NBAではもっと自由がある。長い間ずっと練習してきたスキルだから驚きはないよ。コーチは選手の気持ちを理解してくれて、僕が練習で見せたプレー、できると伝えたプレーをやらせてくれる」

試合の最後はディープスリーを決めるも、96-97で敗れている。「シュートは決まったけど、ターンオーバーが多すぎた。感情が入りすぎて、普段はやらないミスをしてしまった。ボックスアウトも甘くて、相手に多くのオフェンスリバウンドを許して、リバウンドとフリースローの差で負けた。僕はもっとチームを引っ張らなきゃいけない」とウィルソンは言う。

6リバウンド2スティール3ブロックと守備でも存在感を発揮。第2クォーターには自分のミスでボールを奪われるも、全速力で駆け戻って背後からのブロックショットで失点を防いだ。「ちょっとスカしてボールを運ぼうとしてターンオーバーをしてしまった。自分で取り返さなきゃと思った」とウィルソンは自身のプレーを振り返る。

アグレッシブに攻めたが、ボールを持ちすぎる場面もあった。ターンオーバー6もやはり課題だ。ただ、それはケガで久々の実戦だったこともある。ノースカロライナ大で迎えた昨シーズン、ウィルソンは31.3分の出場で19.8得点、9.4リバウンドといずれもチームトップの活躍を見せていたが、2月に左手を骨折。さらに翌月にはダンクを試みて右手の親指を骨折した。エース不在となったノースカロライナ大はNCAAトーナメントの初戦で敗退している。

「正直に言うと、今日は試合前から泣いてしまったんだ」と語るウィルソンは、試合後の会見でも涙を見せた。「最後の試合から5カ月間、プレーできずに辛かった。チームはNCAAトーナメントで負け、コーチは解任されて、僕には辛すぎることばかりだった。今日このコートに立つことを、ずっと待ち望んでいたんだ」

彼はスマホの待ち受け画面を、骨折した時の自分の写真にしている。「あの日のことは忘れない。5カ月間、この悔しさを忘れずに過ごしてきた。『今日はあまり練習したくないな』と思ってしまう時には、この画面を見るんだ。この時の僕は『バスケをやれるなら何だって差し出す』という気持ちだった。それを思い出すためにね」

素晴らしいデビュー戦、かつ復帰戦になったが、ウィルソンは「負けたら何にもならない」と言い切った。「NBAで活躍したいし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーも狙いたいけど、成功の基準はチームがプレーオフに進出できるかどうかだと思っている。すべては勝利に付随するんだ。今日は感情が入りすぎたけど、ようやくここまで来られた。

ブルズの新たなヘッドコーチになったチアゴ・スプリッターは、サマーリーグでも指揮を執っている。実際にシーズンが始まればもっとバランスを重視するだろうが、サマーリーグでは選手のアピールを優先し、ウィルソンにも多くのアイソレーションの機会を与えた。「デビュー戦であれだけのプレーができるのはすごい。私はアイソレーションばかりのバスケではなく、ボールがサイドからサイドへと動くバスケが好きだが、選手がノッている時は見守るのみだ」と指揮官は言う。

長い停滞を終えてNBAでのキャリアをスタートさせたウィルソンは、会見の最後に笑顔でこう言った。「次の試合が待ちきれないよ」