ラメロ・ボール

「プレーオフの常連となり、最終的には優勝争いを」

ホーネッツはラメロ・ボールとジョシュ・グリーンをティンバーウルブズへ放出し、ナズ・リード、2033年の1巡目指名権、2巡目指名権3本、2028年から2030年の1巡目指名交換権を獲得した。ブルズとネッツも絡む4チームの大型トレードとして正式に発表されたタイミングで、サマーリーグが行われているラスベガスでジェフ・ピーターソンGMが会見を行った。

昨シーズンのホーネッツは開幕から4勝14敗と出遅れるも、1月下旬から2月にかけて9連勝で持ち直し、44勝38敗でプレーイン・トーナメントへと進んだ。初戦でヒートを破ったものの、続くマジック戦に敗れた。10年ぶりのプレーオフ進出は果たせなかったが、若いチームが良い経験を積み、このまま成長すれば低迷期脱出は果たせるはずだった。ところがオフになると、2020年の1巡目3位指名で加入して以来『チームの顔』だったラメロを放出し、続いてその相棒であるマイルズ・ブリッジズも放出した。

ピーターソンGMは、今回のラメロ放出が財政的な問題ではないと前置きし、「ホーネッツの編成上の決断はすべて『将来に渡って持続的な成功を収められるか』という視点で下される」と語った。「シーズンの半分や3分の2だけを見て判断するのが私の仕事ではない。全体像を客観的に見なければならない。プレーインを一度勝つことがゴールではない。プレーオフの常連となり、最終的には優勝争いをするのが目標だ」

もっとも、エースを放出して得たのは、ハードワークはできるがスター選手ではないリードと、大半が数年先の指名権。ようやく勢いが生まれたチームを解体するこのトレードに、ファンの間では「勝つ気がない」という反発も根強い。

しかし、ピーターソンGMには今回のトレードを行う合理的理由がある。会見ではラメロの故障歴やリスクには一切触れなかったが、ラメロはケガの多い選手で、昨シーズンようやく72試合出場とコンスタントにプレーできた。5年2億400万ドル(約310億円)の大型契約はあと3年を残し、次の契約延長は非常にリスクの大きなものとなる。

またオンコートの面で、ラメロはボールを持ちすぎるスタイルを変えられない。彼を放出したことで恩恵を受けるのはブランドン・ミラーとコン・クヌッペルで、オンボールでプレーする機会が一気に増えるのに伴い、成長も加速するだろう。ラメロほどの才能はなくても、同じく速いペースを生み出し、よりバランスの取れたコービー・ホワイトを2月に獲得した時点で、この筋書きは選択肢の一つとして用意されていたのかもしれない。

ピーターソンGMは言う。「ファンの皆さんの気持ちは痛いほど分かる。共感さえできる。正直に言えば、私だってラメロが大好きだ。並外れた才能を持ち、良いヤツだ。ただ、私は常にホーネッツという組織の利益を第一に考える。チームのライフサイクルのどこにいるかを客観的に見て決めたんだ」

ラメロのトレードで得た最大の対価は、リードでも指名権でもなく4080万ドル(約61億円)のトレード例外だ。サラリーキャップに苦しむチームや再建へと舵を切るチームから、トレード要員を出すことなく戦力を受け入れることができる。今のNBAでは半分以上のチームがサラリーキャップのコントロールに四苦八苦しており、トレード例外はそこで上手く立ち回るための最強のツールだ。

ホーネッツに足りないのは即戦力のセンターで、ドマンタス・サボニスやマイルズ・ターナーの獲得に繋がるかもしれない。今はルーキー契約の延長でクラブと選手の交渉が折り合わないケースが続出しており、そこでホーネッツのタイムラインに合う有望な若手が流れて来る可能性もある。

ピーターソンGMは「どのタイミングで使うかは想定しておらず、チームを強化できる選手が出て来るのを待つよ」と言い、急ぐつもりはない。来年2月のトレードデッドラインを前に、優勝の可能性が潰えて戦力を整理し始めるチーム、解体へと動くチームが出て来る。相手がパニックボタンに手を掛けた時こそ、トレード例外を活用すべき時だ。

西カンファレンスではサンダーとスパーズが今後数年は高いレベルで競争するだろうが、東カンファレンスは相対的に手薄だ。ミラーとクヌッペルの成長に、トレード例外を活用した補強を掛け合わせれば、ホーネッツは数年後には東の上位争いに食い込み、しかもその強さを継続できる。まだ勝てていなかった数年前のサンダーやスパーズのように、今のホーネッツは未来を見据えて手を打っている。