小野恵富

「今は3×3日本代表として覚悟も自覚もある」

『FIBA 3×3ユース・ネーションズリーグ2026 -U21アジア2-』が明日からマレーシアで開幕する。この大会は1週間で6つのSTOP(大会)が行われ、総合優勝した1チームが9月に開催される「FIBA 3×3 U23ワールドカップ2026」への出場権が与えられる。

日本は5人制を主戦場にしている大学生をメインにメンバーを揃え、7月8日から4日間の強化合宿を行ったが、短期間の活動ながらチームの中で存在感を際立たせていたのが小野恵富だ。

小野は競技歴わずか2カ月で3×3男子日本代表候補に名を連ねた。4月の強化合宿の際はあこがれの舞台に飛び込んだ若手という印象が強かったが今回は違う。自らボールを預かり、勝負どころで積極的にシュートを放つ。多少タフな場面でもシュートを打ち切り、チームメートも自然と小野を起点に攻撃を組み立てるようになっていった。

その変化について尋ねると、小野は「最初から決まっていたわけではない」と笑いながら振り返った。「3日前にU21のメンバーで集まって、スクリメージをしたりする中、自分がシュートを決めたり、ハンドラーをやっていたら、自然と僕のところで攻めようという形になりました。最初は自分がスコアできるからやろうという感覚でしたけど、今はエースという言い方かは分からないですけど、自分が得点を取らなきゃいけないという自覚があります」

プレーで信頼を勝ち取り、自然と攻撃の中心になったことで、今の小野には自信が満ち溢れている。もちろん、目標は明確だ。「チームとしてはツアー優勝優勝を目指しています。ただ、自分たちは3×3の国際大会は初めてですし、海外には身体能力が高い選手も多いと思います。自分たちが今どの位置にいるのかも分からないので、確実に優勝できるとは思っていませんが、狙っていきたいです」

経験が浅いこともあり、同世代の海外のライバルたちとの距離は未知数だ。だからといって目標を下げることはない。今回の大会へ向けて同世代の映像も確認したそうだが、「今一緒に練習をしている相手より強度は低いかもしれない」と感じているという。

小野恵富

「自分たちの世代では十分やれる」

そして何より印象的だったのは、日本代表に対する向き合い方に変化があったこと。前回のフル代表の合宿では、5人制を主戦場とする中で「3×3も経験できれば」という考えがあったが、今は違う。

「代表に選ばれた以上、日本を背負っています。勝ちたいという気持ちもありますし、期待も少なからずされていると思うので、勝ってサポートしてくださる方々に恩返ししたいです。3×3だけじゃなく、5人制の日本代表も目指していますけど、今は3×3日本代表として覚悟も自覚もあるので、このマレーシアで優勝して日本に帰りたいです」

「日本を背負う」という言葉が、ごく自然に口をついたが、それは代表活動を重ねたからこそ芽生えた責任感であり、以前とは明らかに異なる心境だった。一方で、小野の視線はその先にも向いている。江戸川大でも得点力のあるオールラウンダーとして頭角を現しているが、5人制日本代表候補にはまだ名前がない。それでも、自身の実力に対する評価は揺るがなかった。

「もっと呼べよ、って感じはあります(笑)。オフェンスはもちろんですし、ディフェンスも通用する自信があります。3×3に選ばれたから自信がついたというより、新人戦や強い大学との練習試合を通して、自分のプレーは同世代なら通用すると思えました。もちろん、まだ対戦していない選手もいるので一番とは言えませんけど、自分たちの世代では十分やれると思っています」

小野は国体に出場したことはあっても、ウインターカップなど主要な全国大会に出場したことはなく、江戸川大も関東リーグ2部だ。こうした背景もあり、無名から這い上がろうとする強い思いがある。「下剋上っす」と笑顔を見せる、小野のサクセスストーリーはマレーシアから始まる。