文=丸山素行 協力=ぶちまけ!スポーツトークライブ/スポナビライブ

「スポーツ文化を作っていくのが僕らの仕事」

スポナビライブで無料配信されているトーク番組『ぶちまけ!スポーツトークライブ』、6月26日の回にBリーグの大河正明チェアマンが出演。事前にSNSでファンから質問を募集し、それに大河チェアマンが回答するという内容。番組タイトルどおり、大河チェアマンがぶちまけた内容を紹介する。

司会のサッシャは「若干スタジオに緊張感がございます。大河チェアマンに来ていただけるとは」と、いつもより固い面持ち、アシスタントの神田れいみもカミカミの立ち上がり。すると大河チェアマンは前回の出演者である秋田ノーザンハピネッツの田口成浩をイジる形で「田口選手の次に呼んでいただいて、ありがとうございます(笑)」と場を和ませる。銀行マン出身で真面目な印象のある大河チェアマンだが、もともと喋りは達者、しかも根っからのサービス精神旺盛な性格であり、生放送なのに『ぶちまけ』が止まらない。

「Bリーグ1年目のシーズンを終えて、心に残ったこと3つ」というお題を出されると、一発目から「広瀬姉妹に会えたこと」と満面の笑み。「僕の隣の隣に……その隣の隣に田中(大貴)選手がいる……。(やや小声で)これがきっかけだと思いますよ」と、チェアマンにしかできない大貴イジりが飛び出した。ちなみに残る2つは「開幕戦でのLEDコートでの演出」と「チャンピオンシップが良い試合で終わったこと」を挙げている。

シーズンの総括では「だいたい思っていた数字までいきましたけど、もっと満員の試合を増やしていくとかまだまだチャレンジしたい。2年目に減らないこと、少しでも上がることを達成したい」と語る。

そのためには「選手を覚えてもらいたい」と言う。「B.LEAGUE公式SNSアカウントのファン数が40万人を超えました。Jリーグは60万人くらいです。ただ、選手やチームの媒体力にはまだまだ課題がある。田臥(勇太)選手や富樫(勇樹)選手、五十嵐(圭)選手までは認知度があるが、他にも良い選手はいっぱいいる。これを覚えてもらうには代表の活躍だと思います。日本代表が東京オリンピックに出ること、これがBリーグを作った一つの大きな使命ですから、11月から始まるワールドカップ予選で大活躍して取り上げられてもらって。田臥選手がアウェーに行くとお客さんが入る。第2、第3の田臥選手が一人でも多く出て、代表で活躍して顔と名前を売ることです」

大河チェアマンがBリーグ開幕前から頻繁に口にする『夢のアリーナ』についてはこう触れた。「スポーツ庁ができて、2025年までに民間の活力を利用してアリーナ、スタジアムを作っていこうと。ある意味、日本が変わりつつあると思っています。そこをチャンスととらえて欧米にあるようなスポーツ文化を作っていくのが僕らの仕事」

ただ、この点については慎重な部分もある。「オリンピックのために大きなお金を出して協賛していただいてますが、終わった後に何が残ったのかという失望感があるほうが我々は怖い。だから、日常でリーグ戦をやっている野球やサッカーやバスケットがしっかりと日本のスポーツを根付かせる役割を果たさないといけない」

また、こちらも立場的には言及しづらいであろうレフェリー問題にもしっかりと触れている。「審判のレベルは競技のレベルとほぼイコールと言われています。モントリオールオリンピック以来、出れていない日本の男子バスケと審判のレベルはほぼ一緒だということですよ。特に今の審判の方はアマチュアです。先生をやってる方など仕事をしてる方が土日にBリーグの審判をやってくれている。そのアマチュアの方が批判の対象になっている状況を変えなければいけない。もっとBリーグが大きくなってプロの審判を何人も雇えるような世界にならないと。先駆者としてプロの審判を作らないといけないというのが直近の僕らの目標、課題です」

「スポーツに愛情がないとこの仕事はやってられない」

収録終了後にも大河チェアマンに話を聞いたが、『ぶちまけ』のノリは変わらない。1年目のリーグはひとまず成功と言えるが、課題が多いのも確か。その点について率直にこう語る。「僕らはルールを決める人。ルールを決めてみんながハッピーになればいいが、半分の人が満足して、もう半分に不満が残ることが結構あります。とっても難しいです。チームを応援してくれる人はいますけど、リーグを応援してくれる人はほぼいないので」

アリーナ問題についてもあらためて言及。「スポーツ界に働く人間がスポーツを文化としてとらえて、スポーツが持つ力をアピールして施設がもっと充実することが大切。これを僕らが訴えかけなければ誰が訴えかけるのかと」

大河チェアマンは「愛情のない人がスポーツを語るな」と言い切った。「バスケットは2000人が入れば十分みたいなことを勝手に言うわけじゃないですか。でも、見に来たことがあるのかと。スポーツに愛情がないとこの仕事はやってられないですから」

観客動員、アリーナ、審判……様々な課題を抱えてもいるBリーグだが、それでも大河チェアマンが見据える目標はシンプルで、「バスケットボールがもっと盛り上がること」だ。オンエアでは「経営力がチーム力に鏡のように映し出されたのではないかと思ったのが千葉。今4500人、2年前は1900人、2年間で倍以上にしたというのは経営努力であり、これには敬意を表したい」と千葉ジェッツを褒めたが、このオフの動きについても「琉球もお金を注ぎ込んで頑張っている」と注視している。

「ああいうチームが出て来てクラブ間に差が付くことは仕方ない。18チーム同じ実力で、低いほうに合わせてやったって面白くないし、5強が8強くらいになるとメジャーになってくる。三遠、琉球、大阪あたりに期待している」と語る。

新シーズン開幕まであと3カ月。ファン目線からすれば長いが、様々な準備を整えなければならないリーグにとっては、あっという間に過ぎ去る3カ月になるだろう。Bリーグの1年目は「ひとまず成功」。この良い流れを保ち、さらに上昇気流に導けるか。大河チェアマンが引き続きリーダーシップを発揮することを期待したい。

大河チェアマンの『ぶちトーク』はこちらから9月末まで視聴可能となっている。
https://sports.mb.softbank.jp/vod/player/10790