世界では当然の『八村潰し』、その卓越した能力をチームとして機能させるカギは?

2019/08/15
日本代表
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八村塁

「僕がやりにくいようなディフェンスをしてきた」

17本中13本成功(成功率76%)と15本中6本成功(成功率40%)。今週行われたニュージーランド代表との2試合における、八村塁のフィールドゴールのスタッツだ。エースの八村が35得点を挙げた初戦は快勝したものの、2日後の第2戦はシュート成功率が落ちて19得点に終わり、チームもほぼずっと2桁のビハインドを背負う完敗に終わった。

「出だしが悪くて、そのまま後半に入って相手の流れも止められずに負けてしまった。相手もバカじゃないので、僕が35点取ったら次の試合は抑えるためにやってくる。僕がやりにくいようなディフェンスをしてきた」と八村は試合を振り返る。

事実、ニュージーランドは徹底的な八村対策に出た。とはいえ、細かな戦術的対策を練る時間はなく、試合開始から代わる代わるマッチアップする相手がフィジカルに身体をぶつけて削ってきた。勝ち負けよりも自分たちのスタイルを確認するチーム作りが優先されるテストマッチというのは相手も同じ。初戦はほぼ何の対策もなかったが、今回はシンプルにペイントエリア内に入るたびに『敬意を込めて』削りに来た。

スピンムーブからバスケット・カウントをもぎ取る八村らしさ満点の豪快なプレーを筆頭に、第1クォーターこそ11得点と初戦と変わらぬ爆発を見せたが、第2クォーターは得点なし。後半も8得点と伸び悩んだ。ニュージーランドの対策が時間の経過とともに効き、八村のシュート精度を狂わせた結果である。

馬場雄大

馬場雄大「まだまだ粗削りだなとは思っています」

ニュージーランドとの2試合を通じて、八村個人としてはそのポテンシャルを十分に発揮しているが、チームオフェンスに組み込まれて機能しているかと言えば、そうではない。八村の得意とするミドルレンジからのジャンプシュートは単発で、チームとしてお膳立てしたものではない。昨日の試合後、田中大貴はこの2試合のオフェンスをこう振り返っている。「塁のシュートが入っている時は良い、入っていない時は悪い、という2試合でした。今日みたいに相手が止めに来た時、チームとしてパスの本数を増やしたかった。もっともっと動いて良いシュートを作ることを意識しないといけない」

盟友の馬場雄大も「まだまだ粗削りだなとは思っています」と、チームの連携を高める必要性を感じているが、八村個人については「自分勝手じゃなく本当にチームの勝利を常に考えてプレーする選手。メインは塁なので、どうやったら楽にボールを渡せるかが、僕たち周りの選手の役割」とまで言い切る。

ワールドカップ本大会では、当然ながら八村は徹底的にスカウティングされ、対策を打たれる。それを彼自身が乗り越えることも必要だし、チームとして八村の負担を軽減させること、さらには八村を欠いたラインナップでの選択肢を増やしておく準備も必要だ。「八村に託すだけ」のチームでは世界の強豪と渡り合うことはできない。

もっとも、話はそう簡単ではない。八村にとっては自分のリズムでシュートを打つことは大事だし、だからこそトランジションの展開ならともかく、ピック&ロールから作り出したチャンスを決めるフィニッシャーにはなりづらい。八村が自己中心的ではなくても、その卓越した身体能力とスキルをチームのメカニズムの中で生かすのは簡単ではない。

八村塁

「もっと集中力を上げてやっていかないといけない」

もちろん、そのことは八村も理解している。「これから1試合1試合、一日一日と練習が入ってきます。そこで僕らの持ち味とかこの2試合で得たものを忘れないで、チームとしてもしっかり引き締めて、もっと集中力を上げてやっていかないといけない」

初戦に比べてシュートの確率が落ちたことは「問題ないです」と言い切った。シュートは入る日もあれば入らない日もあるので、必要以上に気にしないのが八村のスタイルであり、それはこの1試合で揺らぐものではない。

彼が気にしていたのはむしろディフェンスで、「当たり負けをしていて、審判のファウルのところもありましたが、そういうところも負けないで強く当たっていかなければいけない。システムというより、1対1でカバーできない抜かれ方をするとか、チームとしてもディフェンスが回ってこないので、1対1のディフェンスを僕らはチームとしてしっかりやっていかないといけない」

八村にとっても、チームメートにとってもまだ多くの面で手探りしながら、解決策を見つけていく段階。そういう意味では八村が言ったように、ニュージーランドと2試合を戦い、1週間の準備期間を置いてさいたまスーパーアリーナでの3試合に臨めるのは、チームの力を高める上で大きな価値がある。チームは2日間のオフを挟み、アルゼンチン、ドイツ、チュニジアとの国際強化試合に向けてまた動き出す。