
「この10年近くでスタンダードが高くなった」
ワールドカップ2027アジア予選Window3に向け始動した男子日本代表の中で、最も競争が激しいのがポイントガードの枠だろう。
桶谷大ヘッドコーチは合宿に参加しているポイントガード6人のうち4人を中国と韓国に連れていき、本番では3人に絞ることを明言。さらにタイプの違うガードを見たいと語った。Window2は齋藤拓実、安藤誓哉、富樫勇樹の3人がロスターに名を連ねたが、今回は長らく日本の司令塔を担ってきた富樫が不在で文字通りサバイバルの様相を呈している。
準備期間が少なかったとはいえ、桶谷ヘッドコーチのスタイルをすでに経験している安藤は有利な立場だ。ただ、Window2は2試合で約21分間プレーしたが合計5得点に終わるなど、自慢の得点力は影を潜めた。だからこそ「もっとクリエイトやアタックはしなきゃいけない」と言い、ポジション争いでなく自分自身にフォーカスしている。
「Window3はスペーシングもある程度把握した中で臨むことになるので、どこにスペースがあるのかを予測しながらゲームに入れるようにしたいです。周りの比較とかは関係なしに、アグレッシブに攻めたいと思っています。自分がどうかっていうことしか今は考えていないですね」
もちろんこれは自己中心的にプレーするという意味ではない。勝利するためには仲間との連携が大事だということも安藤は当然分かっている。
「今までやってきた選手たちの阿吽の呼吸だったり、気持ちが一つになった時は、必ず良い流れに持って行ける。そういうことが国際大会での一つの勝ち筋でもあると思っています。タクティカルな部分は持ちつつも、ドッグファイトになった時はそういうことも大切。もちろん勢いだけではどうにもならない部分はあると思うので、そこを落とし込みながら準備したいです」
若い選手が多くコールアップされたことで合宿参加者は22人の大所帯となった。競争はより激しくなるが、安藤はライバルが増えることをむしろ歓迎している。「若手のメンバーはそれぞれのゴールを目指して来ていると思うので、やっぱり良い気持ちを持った選手たちが多いと思います。彼らが入ってきて、僕としては良いエナジーをもらえるというか。もちろん競争なんですけど、逆に上げてもらう感覚ですね(笑)」
ガード陣で最年長の安藤が初めてA代表に参加したのはBリーグ初年度の2016年で、ちょうど10年前だ。「僕が最初に代表に来たのって、確か(25歳の)こてっちゃん(黒川虎徹)くらいの年だった」と回顧した安藤は、あらためて代表のレベルが上がってきたことを実感している。
「あの時はルカ(パヴィチェヴィッチ)が『もう1回日本代表にスタンダードをしっかりと落とし込む』とミーティングで言っていたのを覚えています。コーチやコンセプトが変わることはありましたけど、『世界で勝つ』というワードが今日もミーティングで出ました。そのワードが出てくること自体が、この10年近くでスタンダードが高くなったなと。当時を振り返ってそう思いますね」
Bリーグの発展、そして日本代表の躍進の真っただ中にいた安藤。得点力だけでなく酸いも甘いも知る彼の経験値は現在の日本に必要だ。