
着実にステップアップした先に現れたA代表入りの可能性
6月18日から『FIBAバスケットボールワールドカップ2027アジア地区予選』Window3に向けた男子日本代表の強化合宿がスタートし、開催に先立ち、新たに7名の選手が追加招集された。そのうちの一人が、ディベロップメントキャンプでポイントガードの中で最年長で、桶谷大ヘッドコーチが「ポイントガードとしてリーダーシップがある」と太鼓判を押す活躍を見せた黒川虎徹だ。
そんな彼は名門の東海大でキャプテンを務めていた。時を同じくして在籍していた河村勇輝や金近廉が高いレベルを目指し、中途退部してBリーグに挑戦する中で黒川は最終学年までチームを牽引し、インカレ準優勝に導いた。現在所属するアルティーリ千葉でも今シーズンは57試合に出場し平均23分06秒のプレータイムで11.3得点、4.9アシストを記録とトップレベルのスタッツを残した。得点とアシストでダブル・ダブルを記録する試合も5試合と輝きを放ったが、「安定したプレーをすることが課題です」と謙遜する。
その発言とは裏腹に、次のステップに登った黒川はこの直前合宿でも意欲的な姿勢を見せており、同じポジションの選手から良い刺激を得ていると語る。「(他のガードプレーヤーからは)刺激を受けていますね。プレーの質や精度が高いので多くのことを学びたいです。どういった考えで普段の試合に臨んでいるのか、どうやってプレースタイルを自分の中で確立しているのか聞いてみたいです」
175cmの黒川にとって、Window2でも活躍した172cmの齋藤拓実のプレーはお手本となる。「拓実さんのチェンジオブペースでの脱力感は上手いと思うので、そのやり方は聞いて自分のモノにしていきたいと思っています」
だが、黒川もこの合宿を技術を盗むだけのお客さん気分で参加し続けるつもりはない。A代表で活躍することが自身の目標で、次のステップはロスターに加わること。そのためにも自分の長所をアピールしていく姿勢を貫いている。
「自分の強みはペイントアタックからの得点と3ポイントの確率も今シーズンは向上した(38.2%)ので、そこを強みにしていきたいです。僕の性格上、地に足をつけて着実に少しずつステップアップしていくタイプですが目の前にチャンスがあるなら、それはつかみ取らないといけないと思います。そして、それが今なのかもしれないので周りに遠慮せずにプレーしてチャンスをつかみたいです」
本人が話すように黒川はここまでの道のりを着実に一歩一歩登ってきた。 U18代表、U22代表、ディベロップメントキャンプ参加、そしてA代表の直前合宿。桶谷ヘッドコーチもポイントガードは参加中の6人の中から4人を選びたいと明言している。
東海大で彼を指導した陸川章コーチ(立川ダイスヘッドコーチ)は「いつ現れるかわからないチャンスの神様は前髪しかつかむところがない。現れたと思って後ろを追いかけてもダメで、常に目の前に現れた時につかむ準備をし続けなくてはいけない」と、古代ギリシアの話を選手によく紹介していた。常に準備を怠らず準備をしてきた黒川も言うように、目の前にロスター入りのチャンスが現れている。あとはその手でつかみ取るだけだ。