取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎 写真=古後登志夫、金沢武士団

今シーズンの月野雅人は金沢武士団で全50試合すべてに先発、B2昇格に大きく貢献した。その月野は宮崎県出身、プロキャリアをスタートさせたのは地元の宮崎シャイニングサンズだった。だが、サンズが活動休止に追い込まれた後は岩手ビッグブルズを経て、金沢武士団の立ち上げメンバーとなった。

昇格の喜びを存分に味わったオフ、サンズ時代の先輩である清水太志郎が主催する宮崎県でのクリニックに月野は参加していた。地元への恩返しとして宮崎の中学生にバスケットボールを教え、充実した時間を過ごした後の月野に、今シーズンを振り返ってもらった。

ピンチの時こそ結束して戦うことができるチーム

──まずはシーズンを振り返って、B2に昇格できた最大の要因は何でしょうか?

一番はB2に上がることを目標に、全員が残留してシーズンを迎えられたことです。ウチの強みは結束力なので。チームが創設されて初めて迎えたbjリーグのシーズンでも、お互いを理解してピンチの時こそ結束して戦うことができるチームだったので。

ただ、シーズン途中にはいろんなことに恵まれました。アクシデントもありましたが、最終的には2チームが昇格できるようになった。これは運も味方してくれたと思います。

──B3ではライジングゼファー福岡に次いで2位でした。福岡に勝てなかった理由は?

自分たちが気負ってしまった部分があります。福岡は特別な相手で、開幕前から福岡のことだけは意識してやってきました。外国籍選手のリクルートも福岡を意識してやっていたぐらいです。最終戦の初戦は福岡が自分たちをしっかり研究し、弱点を徹底的に突いてきた印象があります。シュート確率もすごく高かったし、何もさせてもらえませんでした。2日目は競った展開になったのですが、第4クォーター残り5分を切ってからの勝負どころで力負けしてしまいました。

──創設から2年間、チームを率いた鈴木裕紀ヘッドコーチが離れます。

新しいコーチになることへの不安というか、「どうなるんだろう」という思いは正直あります。鈴木ヘッドコーチはオンとオフの切り替えがすごい人で、コート上ではすごく熱いタイプです。チームルールをすごく徹底して、良ければどんどん褒めるし、悪いものは悪いとはっきり言う。それがチームの結束につながっていたと思います。

ただ、それでも不安よりもワクワク感のほうが強いです。B3でやっていた昨シーズンよりもハードな戦いになると思いますが、そのほうが自分の成長にもつながります。チームの結束もさらに高まるはずです。なのでB2での戦いを本当に楽しみにしています。

ヘッドコーチが変わるので、戦術も選手起用も変わると思いますが、ウチの持ち味はディフェンスなので、それを崩すことなく、そこからリズムを作っていくスタイルは引き続き重視してやっていくべきだと思います。

B1のゲームは毎日のように見てきました

──シーズンを通して好調をキープしていましたが、本人としては壁があったりしましたか?

シュートが入らない時期はありましたね。その時にどうしても消極的になってしまうという部分はありました。打ち続けるのが自分の役割です。もちろんシュートで終わるだけではなく、もっとペイントへのアタックを増やすなどの課題もあるので、そこを上げていくことです。あとはファウルをもらううまさを身に着けないといけないと感じています。

──ファウルをもらうプレーも、B2で戦うのには必要?

そうですね。B1のゲームは毎日のように見てきましたが、フリースローで得点をつなぐシーンもたくさんありました。キツいマークを受けていても、そこでファウルをうまくもらって自分の優位を作ることのできる選手はスコアが伸びていると感じます。そこはとても重要な部分ですよね。

──B2とB3の差はどんな部分にあると思いますか?

B3にはプロチームではない球団もあるので、そこの意識の差はすごく大きいと思います。スカウティングをせずに気持ち的にゆとりを持った状態で勝てるゲームもありました。ウチはもちろん対策をするんですが、相手はほとんど対策せずに試合に臨んでいました。仕事をしながらプレーしている選手も多いので、その差は結構大きいです。そういった部分はB2ではなくなると思うので、切り替える必要があります。

──それでは最後に、新シーズンの意気込みを教えてください。

今はB2の話をしていますが、僕自身はB1でやりたい気持ちが強いです。ここで満足するつもりはなくて、常に全力で自分が成長できるように、そして会場に見に来てくださるファンの方々を楽しませるよう頑張っていきます。