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下位3チームは1位指名権の当選確率が下がることに

現地5月28日、NBAの理事会はドラフトロッタリーの方式を来年から変更することを承認した。NBAは戦力均衡のためにドラフト制度を採用しているが、前年の成績下位のチームから上位指名権が得られるルール下では、シーズン終盤にプレーオフ進出をあきらめたチームが故意に負けるタンキングが横行していた。

NBAコミッショナーのアダム・シルバーは3月に「プロスポーツが愛されるのは、筋書きのない生のドラマだからだ。タンキングはスポーツの本質的な価値を損なう。だからこそ、この問題は必ず解決する」と宣言しており、ロッタリー制度の見直しを行っていた。

これまではリーグの下位3チームに1位指名権の最高確率(14%)が与えられており、この3枠に入るためにタンキングが行われていた。来年からは『3-2-1ロッタリー』と呼ばれる制度が導入される。合計37個のロッタリーボールが、下位16チームに配分されて、ドラフト指名順位を決める抽選が行われる。

ここで最も有利となるのは最下位グループではなく、プレーインを逃して下位3チームに入らなかった4位から10位のチームで、1位指名権の当選確率(約2.7%)のボールを3つ得られ、1位指名権の当選確率が8.1%となる。下位3チームはこのボール2つの5.4%。またプレーインの下位チーム(各カンファレンスの第9、第10シード)は同じくボール2つの5.4%を、プレーインの最後に敗れたチームはボール1個の2.7%の当選確率を得る。

これまで下位チームがボトム3入りを争っていた状況は消え、ボトム3入りを避けるべく最後まで勝つ意思を持って戦うようになるだろう。プレーオフ進出を最後まで争うチームは、負けてもボトム3と同じボール2つを得られるのであれば、『勝ちすぎず、負けすぎず』を狙う理由は減り、ファンから「タンクしたほうがマシ」と言われる状況を回避できる。

一方で戦力均衡の力学を残すべく、ボトム3のチームの抽選は12位以下には落ちないが、4位から10位のチームの指名順位は16位まで落ちる可能性がある。また、同じチームが2年連続で全体1位指名権を獲得することはできず、同じチームが3年連続で上位5位以内の指名権を得ることもできなくなる。さらにタンキングと見なされたチームへの罰金や指名順位の引き下げを科すなどリーグの権限が増大した。

シルバーが約束していた『タンキングする意味をなくす』という目的は、このルール変更で果たされることになるだろう。シーズン最後まで下位チームはボトム3を避けるために、中位チームはプレーインを勝ち抜くために戦うモチベーションが生まれる。

一方で、その副次的効果として『指名権の価値』そのものが低下するはずだ。これまで1巡目指名権の資産価値は極めて高かったが、ロッタリーになっても最悪16位まで落ちるかもしれない不確実性は、トレード市場での指名権の価値を下げることになるだろう。

また、今回のルール変更は戦力均衡の力学を弱める。下位チームが上位指名権を得られない可能性が高まり、『弱いチームがずっと弱いまま』の状況が起きやすくなった。かつてはスター選手を集める『ビッグ3』が強力なチームを作るレシピだったが、この数年は指名権をかき集めて『低年俸で即戦力』となる若手を集める方法へとシフトした。その成功例がサンダーとスパーズで、直近でタンキングをしていたチームはこの2チームを真似していたのだが、このレシピはもう使えなくなった。今回のルール変更にグリズリーズが唯一反対したのは、それが自分たちにあまりにも不利益だからだ。

いずれにしても、ルールは決められた。現行の労使協定ルールが切れる2029年までは、このシステムでロッタリーが行われることになる。