ラッセル・ウェストブルック

「試合にインパクトを与えるのにボールに触れる必要はない」

7月26日、サンダーからロケッツにトレードされたラッセル・ウェストブルックの入団会見が行なわれた。

新天地での目標、意気込みをウェストブルックが語ったのだが、最大の注目はジェームズ・ハーデンと彼をどう機能させるか。かつてサンダーでともに戦っており信頼関係はあるのだが、誰よりもボールを保持して自分中心のプレーでチームを引っ張るタイプということで、2人は共通する。どちらかが引けば機能するだろうが、それは自分の特長を殺すことを意味する。ハーデンはこの会見を前に「必ず機能するから心配ない」とコメントしたが、やはり周囲は懐疑的な見方をする。

それに対するウェストブルックの答えは「何も心配ないよ」だった。

「勝つためには、自分のプレーの一部を犠牲にしないといけない。僕らは理解しているよ。優勝が共通の目標であり、そのために何をすべきかは分かっている」

「何も心配していないし、ジェームズも心配していないのを知っている。自分は、オフ・ザ・ボールのプレーもできる。試合にインパクトを与えるのに、ボールに触れる必要はない。より勝つ可能性を見いだすためなら、他のこともやれる」

ウェストブルックは、ハーデンと再びチームメートになったことについて「素晴らしい機会になる」と語った。「素晴らしい球団に、選手、フロントオフィス、コーチングスタッフが揃っていて、素晴らしいことを成し遂げられるチャンスでもある」

今回の移籍は、ポール・ジョージがクリッパーズにトレードされたことに端を発している。ジョージという相棒を失ったウェストブルックは、若手中心でチーム再編に舵を切るサンダーの方針に理解を示し、優勝を狙えるチームへのトレードを希望した。そこからロケッツ移籍が決まるまでに時間はかからなかったが、「ジェームズは夢を実現させるためなら強い人間だからね」と、その間にハーデンから勧誘されていたことも明かしている。

西カンファレンスでは、ハーデン&ウェストブルック以外にも、カワイ・レナード&ジョージ(クリッパーズ)、レブロン・ジェームズ&アンソニー・デイビス(レイカーズ)という超豪華デュオが誕生した。

個の力だけを見れば、前人未到の3シーズン連続『平均トリプル・ダブル』を達成し、2017年にシーズンMVPを受賞したウェストブルックと、2年連続得点王に輝き、2018年にMVPを受賞したハーデンのデュオは抜きん出ているが、それでも「一か八かの賭け」という見方が多いのは、自分本位でプレーすることで最大のパフォーマンスを発揮する2人が組むことへの懸念だろう。だが、その力が噛み合った時の爆発力は、他のデュオに追随を許さないレベルになる。

強烈すぎる2つの個性はどう融合し、何を生み出すのか。2019-20シーズンは、ロケッツファンならずともこのデュオから目が離せなくなるに違いない。