U19女子日本代表

相手の身体能力に押される劣勢、我慢のバスケを展開

U19ワールドカップ、グループリーグ最終戦の相手はコロンビア。開幕前はヨーロッパの強豪ドイツとフランスにばかり注意が向いたが、コロンビアはドイツを撃破して勢いに乗っていた。

立ち上がりはサイズがある上に身体能力も高いコロンビアの勢いに圧倒される。195cmの大型センター、ウリナイ・パズがインサイドを制圧。プレッシャーを掛けても長い腕を伸ばして決めてくるフックシュートと高さを利したリバウンドに日本は対処できず、劣勢に回った。

さらにコロンビアは高さに任せるだけでなく機動力も生かし、日本の選手がポジションを取っているケースでも飛び込んでリバウンドを次々と奪っていく。第1クォーターは13-20とビハインド。シュート確率で上回るにもかかわらず、リバウンドの差で突き放された。

それでも日本はここから粘りのバスケットを展開する。伊森可琳、大原咲織とベンチスタートのビッグマンが身体を張り、流れを呼び込むには至らないまでも相手の勢いを削ぐ。フットワークを生かし、ディフェンスではイージーシュートを許さず、オフェンスではひたすら相手を揺さぶってチャンスをうかがい続けた。

U19女子日本代表

スタミナ切れとファウルトラブル、日本に勝機

そうした粘りのバスケットを続けた第3クォーター途中にチャンスが訪れる。195cmのパズがファウルトラブルとなりベンチに下がったのだ。ワンマンチームと言えるほど攻守の依存度が高いエースが下がったコロンビアに、日本は一気にギアを上げて襲い掛かる。ハーフコートオフェンスではなかなかインサイドを破れなかったが、その鬱憤を晴らすかのように坂本雅が豪快なドライブレイアップを決めて逆転に成功。日本はチーム一丸で作り出したコーナースリーのチャンスを坂本が決める好プレーも飛び出し、45-45で最終クォーターを迎えた。

ほとんどの時間帯でビハインドを背負った日本だが、それでも果敢さを失わずに足を動かして、ロースコアの試合ではあるがテンポの速い展開に持ち込んだことが、勝負どころの第4クォーターで功を奏した。主力にプレータイムの集中するコロンビアの選手たちがスタミナ切れを起こし、出足の一歩が遅れることで攻守ともに日本が先手を取るように。第4クォーター開始早々、ボールロストから伊森にアンスポーツマンライクファウルを犯したシーンがその象徴だ。わずか2分で10-2のラン、55-47とされたコロンビアはたまらずタイムアウトを要求した。

追う立場に転じたコロンビアはエースのパズにボールを集めてゴール下で勝負させるが、ここに立ちはだかったのは竹原レイラだ。ここまでパズは25得点10リバウンドと手の付けられない出来で、主にやられていたのが竹原だったが、その竹原がオフェンスリバウンドをもぎ取ってパズから個人4つ目のファウルを引き出す大仕事をやってのける。総得点の半分を稼ぎ出すエースが退場するわけにはいかず、ファウルを恐れて思い切ったプレーのできなくなったパズは、そこから別人のように存在感を失ってしまった。

U19女子日本代表

個々の奮闘をまとめてチームの力に変えた司令塔、池田

相手のゴール下を守り切ってから電光石火の速攻に転じて野口さくらがレイアップを沈めれば、東藤なな子はスピンムーブから技ありのシュートでバスケット・カウントをもぎ取る。スタミナ切れを起こした上にエース不在となったコロンビアは、もう日本の敵ではなかった。残り1分40秒、69-55でコロンビアは主力選手を下げて白旗。最終スコア69-58で日本が見事な逆転勝利を収めている。

切り込み隊長としてコロンビアを翻弄して11得点を挙げた東藤、苦しい時間帯にコツコツと11得点を積み上げた今野紀花、劣勢のインサイドで耐え続けた竹原と伊森、流れを呼び込むビッグショットを決めた坂本と多くの選手が目立った活躍をしたが、池田沙紀の落ち着いたゲームメークにも触れておきたい。ビハインドを背負って打開するきっかけを見いだせない状況で粘りのバスケットをリードし、流れが来たと感じれば一気に攻勢に転じてチームを勝利に導く見事な働きであり、スタッツ以上に大きなインパクトを残すプレーだった。

これで日本は2勝1敗でグループ2位通過。明日、ベスト16でハンガリーと対戦し、これに勝てば休養日を挟んでタイとベルギーの勝者と対戦する。