
「日本のスポーツツーリズムは非常に強力です」
FIBA公認の国際大会となりビジネスとしても拡大を続ける『東アジアスーパーリーグ(EASL)』。ビジネス面での成長についてCEOを務めるヘンリー・ケリンズが語った前編に引き続き、後編では今後の課題について語ってもらった。
なぜEASLはファイナルをマカオで開催するのだろうか。ケリンズCEOはこう答える「マカオは運営の面で完璧すぎるところがあります。空港から10分、香港からも45分。インフラも政府の支援も素晴らしい。マカオはスポーツイベントを行うのに最高の場所です」
とはいえ、Bリーグで言えば宇都宮ブレックスのファンは成田まで3時間、直行便に乗っても4〜5時間、そこから市街地まで移動と約9時間の長旅となっている。それでも多くの宇都宮ファンが試合会場に駆けつけた。「日本から多くのファンが来てくれたことは素晴らしい。日本のスポーツツーリズムは非常に強力です。しかし、アジアの他の市場ではまだそこまで強くありません」と、現地観戦、スポーツツーリズムの成熟が課題だとケリンズCEOは考えている。
「我々のチケット価格はどの市場でも、特にファイナルであっても手が届かない額ではありません。これは重要です。航空券を買い、ホテルを取って応援に来るという文化を特に若い層を中心に育てている最中です」。そう語るように、EASLのファイナルのチケット価格はコートサイドを例に挙げても、Bリーグファイナルの同じ席の約3分の1の価格設定となっている。ただ、今後はアクセス面も考慮してファイナルの開催地を決めていくと明かした。そして、EASLが目指すべき大会像についても明言した。
「FIBAはナショナルチームやユースなど巨大なパイを持っていますが、我々がやろうとしていることはBリーグに近いものです。スポーツを商業的に発展させつつ、持続可能で全体の体験価値を高める手法です。我々は必ずしも他のスポーツと競っているわけではありません。競合はeスポーツであり、カラオケです。消費者が他の娯楽ではなく、なぜ我々を見るべきかという点で競っています」
ファンが楽しみ、消費すると同時にクラブやパートナーにも利益をもたらすことが至上命題となっている。「FIBAと我々とでは役割こそ違いますが、最終的な目標は非常に似通っています」と語るように、FIBAにとってはEASLを傘下に組み込むことで、前編で述べたクラブ世界一へのロードマップの整備、それによる大会価値の向上で競技力を向上させる目的が達成された。それによってアジア全体のバスケの市場価値を底上げし、最終的にFIBA本体に入るロイヤリティやライセンス収入を増やす側面も持ち合わせている。FIBAにとってEASLが成長することで恩恵がもたらされており、EASLが価値増幅の後押しとなっている。
FIBAは今後もインターコンチネンタルカップを通じてアジアと世界の繋がりの強化を進めていく。だからこそ、予選会として組み込まれることになったEASLは、そのエコシステムの一部として機能することが重要になってくる。ケリンズCEOの手腕でEASLはビジネス面でも拡大を続け、アジアのみならず世界から注目される大会に成長を続けていく。現代バスケットボールではビジネスとしての成功と競技力の向上は密接な関係にある。
「現在は12チーム編成ですが、来シーズンは16チームへの移行を視野に入れています」。EASLは攻めの姿勢を緩めることなく、まだまだ拡大を続ける。このリーグがアジアのみならず世界で最も注目される国際大会になることも夢ではないかもしれない。