
「今年はチャレンジャーということに尽きます」
U18日清食品トップリーグは、創設から数年を経て高校生から『3冠』の一つと見なされる大会へと成長した。トップリーグの下位チームとブロックリーグの優勝チームによる入替戦が新たに設けられたことで、昨年のブロックリーグを戦った強豪校のコーチが入替戦でどこと対戦するかを気にするのは当然だった。
先にトップリーグが閉幕し、5位で入替戦に回ることになった福岡第一と対戦するブロックリーグの第4シードと第5シードはいわゆる『死の組』となった。それでも第4シードとなった藤枝明誠の金本鷹コーチは、「ウチの目標はトップリーグに入ることではなく、トップリーグで勝つことです。福岡第一が強いのは分かっていますが、そこから逃げ回るようでは絶対に勝てません」と、福岡第一への挑戦をむしろ望んでいた。
こうして迎えた3月15日の試合で、藤枝明誠は堂々の戦いを見せる。先行を許すも離されずに食らい付き、ゾーンディフェンスが機能した後半最初の3分で9点のリードを奪う。しかし、守備ではゾーンを引っ張りすぎ、攻めではエースの渡邊聖がフェイスガードを打開できずに得点が止まる。ここから一気に福岡第一の走る展開に持っていかれ、逆転されて第4クォーターへ。その後も福岡第一のランニングプレーを止められず、45-54と9点のビハインドを負った。
藤枝明誠はここでのタイムアウトを機に、自分たちがディフェンスのチームだと再確認し、オールコートディフェンスで勝負に出た。ギリギリのところで福岡第一の流れを断ち切ると、福本彩人、高平爽太、アメー エマニュエル・チネメルンを軸に点差を詰めていく。
エースの渡邊は福岡第一のフェイスガードに苦しみ、「自分がやらなければ」の責任感が悪い方向に出て、強引に攻めてカウンターを浴びることになり、自身のファウルトラブルもあって全くリズムに乗れずにいた。しかし、その渡邊がクラッチタイムに福岡第一のディフェンスを凌駕する。残り1分半に同点に追い付くディープスリーを決めると、さらに逆転のステップバックスリーもねじ込む。
残り1分半で3点負けていた試合をエースのクラッチショット連発で3点リードに変え、藤枝明誠が62-59で福岡第一を破った。
同点の場面で勝負を決めるエースの一撃!!!
藤枝明誠#13 渡邊 聖(2年|180cm)
藤枝明誠が福岡第一を破り、#U18日清食品トップリーグ 2026の出場権を獲得🔥#U18日清食品トップリーグ入替戦#U18日清食品リーグ#高校バスケ pic.twitter.com/9q7qe0RGcl
— 高校バスケby日本バスケットボール協会(JBA) (@U18_JBA) March 15, 2026
ゲームウィナーを決めたにもかかわらず、渡邊は「最後のシーンだけ切り取られると思いますが……」と気恥ずかしそうに笑う。彼にとっての転機は第4クォーター序盤、ファウルトラブルもあって一度ベンチに下がったことだ。
そこで渡邊は、仲間たちに落ち込んだメンタルを引き上げてもらったという。「ヘコたれてベンチに下がったのですが、みんなから『行けるぞ、全然行けてる』とか『練習の方が強度高かったよ』みたいなことを、同じ学年からも1年生からも声を掛けてもらいました。そのおかげで自分がベンチから出てくる時には、ヘッドダウンしているみんなに声を掛けることもできて、そこからああいったプレーに繋がりました」
苦しむエースを金本コーチも信じ抜いた。ただ、「渡邊をどこまで信じて、もう下げようかなって思ったんですけど」と迷ったことも明かす。「でも、結果論ですが残して良かった。それが今年のチームのカラーとしてここから出ていくと思っています。彼と心中するじゃないですけど、そういうつもりでシュートを決めてもらいたい」
かくして、藤枝明誠はトップリーグ復帰を果たした。昨年はインターハイもウインターカップも2回戦止まり。一昨年のウインターカップの8強以降は全国で結果を出せておらず、1年の時から試合に出ている渡邊にはリベンジの気持ちが大きい。「新チームになった今年はチャレンジャーということに尽きます。やっぱり去年に悔しい思いをしているので、取り返しに行く気持ちがありますし、でもそこでムキになるんじゃなくて、どんな時も楽しむのが今年のチームのコンセプトなので、練習から楽しんでやっていくのを自分が引っ張っていきたい」