今野紀花

「今野に預ければ、必ず何とかしてくれる」

昨年のU18アジア選手権で準優勝に輝いた女子日本代表は、7月20日から開催されるU19女子ワールドカップの出場権を得た。先月のフランス遠征を経て直前合宿を行い、決戦の地であるタイへと今日飛び立つ。

「18歳から一緒のメンバーで練習してきたので、積み上げてきたものを大会で出してメダルを取りたい」。そう話すのは、ルイビル大への進学が決まっている今野紀花だ。

今野は昨年のアジア選手権でそのオールラウンダーぶりを発揮し、平均13得点4リバウンド2.4アシスト1.4スティールを記録。萩原美樹子ヘッドコーチも「今野が良いですね。今野に預ければ、ピックを使わなくても必ず何とかしてくれる」と、絶大な信頼を置いている。

オフェンスの中核を担う今野は、「中に切ってのアシストもそうだけど、得点をすることも仕事です。自分にボールが回ってきた時は迷わずにシュートを打って頑張りたいです」と、自身の役割を語る。

A代表と同様に、このチームはファストブレイクを軸としたトランジションバスケットのスタイルを取っている。そして、萩原コーチは「ペースアップするところを努力してやっています。今野はポイントガードではありませんが、自分でプッシュができるので、1番に頼らなくてもペースアップができます」と話し、今野の万能性を重宝している。

今野紀花

「日本のチームで1番じゃないと認めてもらえない」

直前合宿では、U19女子アメリカ代表を日本に迎えて練習試合を行った。ワールドカップ開幕を前に最強の相手と戦うことは、現在地を知る意味でも貴重な体験だ。「ダメージになる可能性もあるかなと思ったんですけど、非常によく耐えてくれた。自信になったし、良い準備ができた」と萩原コーチは総括する。

そして今野にとっても、アメリカ代表との戦いは特別な意味を持っていた。というのも、U19チームを率いるのは、今野が進学するルイビル大のジェフ・ウォルツコーチだからだ。

結果的に2敗したが、「グッドボールハンドリングとか、プルアップシュートが良かったとか良いことを言ってもらえました」と、ウォルツコーチから褒められ、「ワールドカップに繋がる良い試合になった」と今野も手応えを得た様子。

今野はこれまでのバスケ人生の中で常にチームの主力を担ってきたが、ルイビル大はNCAAの強豪であり、先発の確約はない。そのため、大学のヘッドコーチが参加するこのワールドカップは、自身の評価を高める機会でもある。

「コーチもその試合を見ているわけだし、アメリカに行くからには、日本のチームで1番じゃないと認めてもらえないというか、やっぱり1番で行きたいので、チームでやることも徹底するけど、個人としても見てもらえるようにやりたいです。この大会で自分が日本のエースだと思われるように、存在感を出していきたいです」

もちろん、一人の力でチームを勝たせられるほど世界の舞台は甘くない。だが、こうした強い気持ちは周りに伝わり、チーム全体の底上げに繋がる。今野が突出したパフォーマンスを見せられれば、日本代表はメダル獲得に近づくし、それは彼女自身のアメリカ挑戦をも助けることに繋がっていく。