クーパー・フラッグとの共演は今シーズンは果たせず
NBAコミッショナーのアダム・シルバーが、ドラフト指名権の順位を上げるために故意に負けるタンキングに強い警告を発した今、下位チームは『ケガ人を明確なケガ人にしておく』戦略を採り始めている。キングスはザック・ラビーン(右手の腱)とドマンタス・サボニス(左膝半月板)が手術を受け、今シーズン終了となることを発表した。
マーベリックスでは、カイリー・アービングが今シーズン中の復帰を見送ることを発表した。カイリーは昨年3月3日に左膝の前十字靭帯断裂の大ケガを負った。ルカ・ドンチッチを放出してチーム内外が騒がしい中、ベテランとしてチームを引っ張る強い意志を見せていた矢先のケガだった。
前十字靭帯断裂からの復帰は通常約1年を要する。間もなくその1年だが、復帰を見送る決断を下した。カイリーは「この決断は容易ではなかったが、正しい選択だ。来シーズン、より強くなって復帰するのを楽しみにしている。僕の中の信念と意欲はますます強くなっている」とのコメントを発表している。
ケガからの復帰を急いで、その無理が新たな大ケガに繋がるケースは散見されており、カイリーの場合はこの左膝がこれまでのキャリアで何度も痛めてきた古傷という過去もある。ただ、この決断をマブスのチーム状況が後押ししたのは間違いない。マブスはここまで19勝35敗の西カンファレンス12位。ニコ・ハリソンGMを解任したシーズン序盤にチームの編成プランは崩れ、トレードデッドラインにはアンソニー・デイビスを放出している。
昨年はロッタリーで全体1位指名権を引き当て、クーパー・フラッグを指名する幸運に恵まれた。今年は積極的にタンキングに行き、2年連続での逸材獲得を目指しつつ、自分たちの持ち駒を見て新たなチーム編成を考える必要がある。今年のドラフトは逸材揃いの当たり年と言われ、なおかつ来年からしばらく自前の1巡目指名権を持たないマブスにとって、今シーズンは『順位を下げにいく』のが妥当な戦略だ。
ダラスのファンの残るシーズンの楽しみは、クーパー・フラッグがルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞できるかどうかとなる。フラッグは足のケガでNBAオールスターを欠場したが、近々復帰の見込み。ここまで20.4得点、6.6リバウンド、4.1アシストを記録しており、直近の6試合では平均32.0得点と絶好調。シーズン序盤は慣れないポイントガード挑戦に苦戦したが、NBAのスタイルにいち早く馴染み、ベテランが抜けて彼の手にボールが託されることが増えるにつれて強烈な存在感を放つようになっている。
フラッグはここまで順調な成長を見せているが、フラッグの成長という意味でもマブスのプランはすでに崩れてしまった。フラッグは1年目にしてカイリーやデイビスといった優勝経験のあるベテランとともにプレーし、『勝つための戦い』をプレーオフまで続けるはずだった。大物ルーキーの大多数は再建中のチームで負けながら経験を積むが、フラッグは違うルートを進めたはず。残念ながら、そのプランは消滅してしまった。
