
噛み合わないエースとチーム戦術、今後も彼らを核に?
1年前、オールスターブレイクの時点で西カンファレンスの2位にいたのはグリズリーズでした。エースのジャ・モラントや経験豊富なマーカス・スマートなど主力にケガ人が多かったものの、チーム全体の連携プレーとハードワークで堅実な勝利を積み重ねており、リーグトップの平均123.3得点を記録していました。
しかし、その後は12勝16敗と失速し、レギュラーシーズン終盤にはヘッドコーチを解任。オフにはデズモンド・ベインをマジックへと放出します。そして今シーズンの勝率5割に届かない低迷に意を決し、トレードデッドラインではジャレン・ジャクソンJr.を放出して一つの時代を終わらせました。
2021-22シーズンには3年目の若きエース、モラントを中心に西カンファレンスで2位となり、ライジングチームとして脚光を浴びましたが、あまりにも早い終焉となりました。当時のメンバーで今も残っているのはモラントのみ。そのモラントも今ではケガと素行の悪さばかりが話題となっています。
このところは試合終盤に主力を下げて負けており、NBAドラフトで上位指名権を狙う動きを明確にしています。1巡目指名権は今年が2つ、来年には3つを保持しており、次の時代へのシフトの準備は整っています。
しかし、その前にモラントの処遇を決める必要があり、同時にヘッドコーチのトゥオマス・イーサロに新たな時代を担わせるのかどうかの決断も必要となります。
シーズン中にモラントがイーサロと衝突しましたが、それは突破力や展開力といった彼の特徴よりも、ヘッドコーチが志向するチーム戦術が優先されたことが原因です。実際にモラント以外のガードではシュート力が特徴のタイ・ジェロームやキャム・スペンサーが起用されており、方向性の違いは明らかです。モラントはパスを重視する歩み寄りを見せましたが、シュート力の低さは改善できておらず、今の戦術でチームの核になるのは難しいように見えます。
イーサロに再建を託すのであれば、ドラフトでも彼のスタイルに合う選手を揃えていく必要がありますが、そもそもイーサロに賭ける方向性そのものへの疑問も沸いてきます。ケガの多さや私生活でのトラブルなどプレー以外の問題点が多いモラントを中心に据えるかどうかは別にして、チームの核となるスーパースターの特徴に応じて戦術を構築していくのはNBAでは一般的なチーム作りであり、両者がマッチしなければヘッドコーチを交代させるのも日常茶飯事なだけに、イーサロの進め方には不安が残ります。
モラント中心の戦術構成で好成績を残しながら、ヘッドコーチ交代でモラントの立場は危うくなり、そしてチームはベインとジャクソンを放出して再建へと向かう。内部事情は様々あったにしても、この1年のグリズリーズの変化は異様なものがありました。再び勝てるチームへと返り咲くためには、中長期を見据えた明確なプランが必要です。フロントがまだそれを持たないのであれば、シーズンの残り試合で見極めるべき要素はたくさんあり、単純な『ガベージタイム』にはならないはずです。