「すべてのBリーグのチームをリスペクトしています」
長崎ヴェルカは、1月31日と2月1日に行われた広島ドラゴンフライズ戦に連勝。1月25日の三遠ネオフェニックス戦と28日のシーホース三河戦で喫した連敗からの立て直しに成功した。中心選手のイ ヒョンジュンは2試合続けて18得点をマーク。持ち味である3ポイントシュートを2試合合計で13本中8本成功させる見事な活躍だった。
しかし、ゲーム2の終了後の会見で本人は「シュートについてはあまり気にしていないです」と語り、次のように課題を口にした。「この試合でリバウンドを1本しか取れなかったことは、自分にとって(悪い意味で)驚きで、改善しないといけないです。アキル(ミッチェル)、JB(ジャレル・ブラントリー)、スタンリー(ジョンソン)にマイキー(川真田紘也)がボックスアウトを頑張ってくれたので自分はもっとリバウンドに絡みたかったです。チームが勝てたことは良かったですが、この点については満足していないです」
明日から長崎はアウェーで、昨シーズンのリーグ王者で今シーズンもここまで好成績を残している宇都宮ブレックスと対戦する。西地区1位の長崎、東地区2位の宇都宮という上位対決は大きな注目を集めるが、ヒョンジュンはいつもと変わらないメンタルで臨むつもりだと言った。
「宇都宮さんは素晴らしいチームです。タフな試合になることはわかっています。ただ、僕はすべてのBリーグのチームをリスペクトしています。だから、次の2試合も他の試合と同じくらい大切という意識です。相手がどんなプレーをするのかはスカウティングしますが、相手の勝率や昨シーズンの成績を気にすることはないです」
ここまでヒョンジュンは35試合出場で平均17.2得点、5.7リバウンド、2.6アシストに加え、リーグ1位の3ポイントシュート成功率48.0%を記録。帰化/アジア枠でB1随一のアドバンテージを生み出すだけでなく、前半戦のリーグMVPと言える大活躍を見せている。
また、彼の特筆すべきところはチームを勝利に導く力だ。昨シーズンはオーストラリアNBLでイラワラ・ホークスのリーグ優勝に貢献し、今シーズンはここまで長崎の快進撃に欠かせない存在となっている。
「本当に良いチームはコミュニケーションが取れています」
チームを勝たせるために大切にしていることは何か、というこちらの問いにヒョンジュンは「まずは自己犠牲です」と即答した。
「すべての選手にはエゴがあり、やりたいこと、やりたくないことがあります。ただ、バスケットボールはチームスポーツです。チームのために犠牲を払い、時には自分にとって快適でないこともやらないといけないです。そしてどんな時もコート上では、ポジティブなエナジーを出すことです」
ヒョンジュンはコミュニケーションの重要性についても語った。「本当に良いチームはオンコート、オフコートの両方でしっかりコミュニケーションが取れています。昨シーズンプレーしたホークスは、選手主催のチームディナーなどいろいろとやっていましたし、それによって仲が深まっていきました。今シーズンのヴェルカも、同じようにイベントを行ったりしてコミュニケーションをよく取れています。時には1対1で話をして、お互いの考えを伝えあっています」
大学時代はアメリカNCAA1部のデイビッドソン大で中心選手としてNCAAトーナメントに出場。そしてNBL、Bリーグでプレーしたヒョンジョンは、選手としての卓越したスキルと共に、さまざまな文化に適応できるタフさも備えている。これは決して簡単なことではないが、ヒョンジュンは次のことを意識しているという。
「自分らしくいることも大事だと思いますし、チームの環境を見てアジャストしたり、自分が何をできるかを考えています。僕は若いですし、ちょっとした冗談を言って雰囲気を明るくすることもあります。そしてバスケットボールの世界も普通の社会と同じです。良い人間であること、自己犠牲の精神を持つことが大切です」
これからシーズンが深まるにつれ、対戦相手のヒョンジュン対策は激しさを増していくだろう。ただ、自己犠牲を何よりも大切にするヒョンジュンは、自分が囮(おとり)になって他の選手を生かすことにためらいはない。人間性の部分でもスキのない彼を止めるのは引き続き至難の業だ。

