青木保憲

Bリーグ初の長編ドキュメンタリー『OVER TIME~新生・川崎ブレイブサンダース、知られざる物語~』の劇場公開に合わせて舞台挨拶が行われた7月6日、キャプテンの篠山竜青とともに若手の青木保憲の姿があった。彼にとってのプロ1年目は、チームとしてタイトルを一つも獲得できずに終わったシーズンとなってしまったし、彼自身も47試合に出場したものの大きな成果は残せないシーズンとなった。この1年をまとめたドキュメンタリーを見たところで、青木にシーズンを振り返ってもらうとともに、逆襲を期する新シーズンへの意気込みを聞いた。

「自分がチームに貢献する道が少し開けた」

── まずは『OVER TIME』の感想をお願いします。

見終わった後に新シーズンへのモチベーションが上がったというか、ある意味モチベーションビデオみたいな印象ですね。昨シーズンは不甲斐なさや悔しさしか残っていません。それをあらためて映像で見返して、「やってやろう、やらなきゃいけない」という気持ちに駆られました。

正直、良いところが少ないシーズンだったので、映画をどうやって作るのかなという思いはありました。僕たちの中で今後、良い結果を残した時に、こういうシーズンもあったからこその勝ちだったんだなと、思えるようになったら良いですね。

──川崎は控え選手の層が薄いと言われ、実際に映画の中でも控えメンバーの重要性が指摘される場面がありました。セカンドユニットの一員として、そこにフォーカスされる悔しさは大きかったのでは?

もちろん悔しかったです。川崎は控え選手の得点が少ないことが顕著でした。自分も最初はいろいろやろうとしましたが、何が強みで何をやらないといけないのか、それが見えていなかった部分もありました。

そんな時に(佐藤)賢次さんからベンチメンバーに対して話があって、そこからはディフェンスからハッスルプレーをして、相手のガードに好きなようにさせない、というところにフォーカスしていきました。そうすると徐々に自分としても良い流れができて、自分がチームに貢献する道が少し開けたのかなという感覚がありました。もちろん、まだまだな点しかないんですけど、この苦しいシーズンの中でもそういう部分が一つ見つかったことは良かったと思います。

青木保憲

篠山選手、藤井選手とは「違う良さを出していきたい」

──川崎は今オフに大型補強をしています。佐藤ヘッドコーチもチーム内競争を期待しているようですが、選手としてはどのように感じていますか?

その通りですね。加入した2名の選手とポジション自体は被ってはいないですけど、昨シーズンから1つではなく2つのポジションができないとダメだと言われていました。そういった中で、僕たち控えメンバーが上の選手たちを突いていけばチームの底上げになります。昨シーズンは練習でもスターティングメンバーに毎回負けてばっかりで、チーム力の向上はそういった点から直さないといけないと思います。

まず僕で言えば竜青さんや(藤井)祐眞さんと張り合えることが一つの目標です。リーグでもトップクラスのガードなので、その2人とやり合えれば自ずと自信にもなって、他のチームのガードとやっても絶対に遜色なくできると思います。もちろんチーム内競争は激しくなるし、逆に激しくしないといけないと感じています。

──プレータイムを伸ばしてチームにより貢献するという意味で、先輩たちに対する遠慮はなく自分がやってやるという気持ちが強いですか?

そうですね、それぐらいの気持ちがないとこの世界ではやっていけません。でもあの2人と同じことをやっても僕は成長できないと思うので、違う良さを出していきたいです。

──どういったところが篠山選手、藤井選手とは違う良さになるでしょうか?

ディフェンスでのハッスルプレーが自分の絶対的な軸だと思います。そこを磨いていくとともに、オフェンス面であまり貢献できなかったので、しっかりと自分からメークできるようにガードとして周りを動かすことを意識したいですね。ウチの強みはニック(ファジーカス)であったり、イニシアティブを取れる選手が多いことなので、そこをどう生かすか。それがガードの絶対的な手腕になります。そういったところも竜青さんや祐眞さんとは違う視点でできたら良いスパイスになるんじゃないかと思います。

──今回は初めてドキュメンタリー映画ですが、チームとしてもファンとしても、良いシーズンにして、それをドキュメンタリーで振り返りたいものですよね。新シーズンもドキュメンタリーを作るとなったら歓迎しますか?

お客さんは結果の部分しか試合で見ることができないので、こうやって僕たちがどう取り組んでいるのかを知ってもらえるのは、うれしいことですね。そこでまた興味を持ってもらえたり、Bリーグもそうですし川崎がもっとメジャーになるきっかけになると思うので、喜んで応えていきたいです。

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