桶谷HC「今の自分たちに強さはないです」
『第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会』で前回王者の琉球ゴールデンキングスは、クォーターファイナルでシーホース三河に85-92で敗れ大会連覇を逃した。
琉球は出だしで10-0のランを食らうと、三河の石井講祐に第1クォーターだけで15得点を許して主導権を奪われる。その後もディフェンスリバウンドを取りきれないことで、セカンドチャンスから三河に効果的に得点を決められた結果、18点の大量ビハインドでハーフタイムを迎える。
後半に入ると、琉球はようやくディフェンスリバウンドからの攻守の素早い切り替えと、自分たちのやるべきプレーを取り戻すことで、第3クォーター終了時点で点差を10点にまで縮める。しかし、大事な第4クォーターの立ち上がりで、連続で相手に3ポイントシュートを決められるなど要所でディフェンスが全く踏ん張れず、すぐに突き放される。その後、意地を見せ残り3分で8点差まで追い上げたが、反撃もここまでだった。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは、「立ち上がりで0-10のランを許し、苦しくなってしまいました。逆に三河さんはプレッシャーを感じずに自分たちのバスケットボールができるようになってしまいました」と出だしの悪さが致命傷になったと振り返る。
12月下旬にかけて琉球は、東アジアスーパーリーグも入った過酷なスケジュールによる消耗、エースのヴィック・ローの欠場など様々な要因もあってリズムを崩して負けが込んでいた。それでも1月3日、4日に行われた三河とのリーグ戦を1勝1敗で終え、明るい兆しが見える内容とチームは上昇モードに入るかと期待された。
だが、外国籍がオン・ザ・コート1などレギュレーションの違いがあるとはいえ、この天皇杯では初戦で、駒不足のB2横浜エクセレンスに辛勝。さらに三河には完全な力負けと、厳しい現実を突きつけられる格好となった。桶谷ヘッドコーチも、「今の自分たちに強さはないです。どのチームに対しても負ける可能性がある。現状のすべてを受け入れていかないといけないです」と語る。

「どうあっても前に進むしかない」
琉球の顔である岸本隆一は「この大会はここまでかというか、、一つの言葉で簡単に表せない気持ちで、悔しいというだけでなくいろいろと考えさせられる試合でした」と語る。そして立て直しに向け「一つはやるべきことを続けていく。どのタイミングでチームが良くなっていくかはわからないですし、続けていくことで活路を見出せます。ただ、何をどう続けていくのか、正直ぼやっとしているので、このブレイク期間で自分なりに整理して残りのシーズンに繋げていきたいです」と苦悩の表情を浮かべる。
琉球は昨シーズンまで4年連続ファイナル進出中で、Bリーグ初年度から毎年ポストシーズンに出場しているリーグ随一の常勝チームだ。ただ、この素晴らしい実績故に周囲の期待は大きい。今シーズンもここまでリーグ戦18勝12敗で勝率6割と高勝率を残していながら、いつもと比べて調子が悪い、という外野の声も聞こえる。それは今回の天皇杯ベスト8敗退によってより強くなるだろう。
当然のようにどんな競技でも勝ち続けることは不可能で浮き沈みはある。その中で、ここまで長期にわたって勝ち続け、今シーズンもチャンピオンシップ出場が狙える位置にいても、低迷していると見られるのは理不尽だ。厳しすぎる声はシャットダウンしてプレーに集中すべきというスタンスは妥当な選択だ。
だが、岸本はそういった姿勢をとらない。できるだけファンの声に寄り添うことを大切にしている。「僕たちが何のためにプレーしているのかといえば応援してくれる方々がいてのプロ選手、プロチームだと思います。中には耳に入れなくてもいいモノもあるかもしれないですが、少なからず僕たちは周りの声を力に変えないといけない職業です」
そして、これまで勝ち続けた歴史があるからこその高い期待とポジティブにとらえる。「自分たちがこれまで積み重ねてきたものが周りに影響していると捉えれば、それはそれで誇らしいモノなのかもと思います。いろいろな側面はありますけど、僕自身は受け入れるべきものは受け入れたいです。そうやって自分の考え、プレーを積み重ねてきたつもりなので。その心を持ちつつ自分の成長に変えていきたいです」
これまでの長いキャリアにおいて岸本は何度も困難に直面し、それを乗り越えてきたからこそ勝ち続けてきた。それでも「毎年、思うことですけど似たような状況はあっても、紐解いていくと全く同じことはないと思っています」と、問題に対して確立された処方箋はない。それでも一つはっきりしているのは、「いろいろと考えますけど、どうあっても前に進むしかないです」と逃げないことだ。
厳しい現実にしっかりと向き合い、もがき続けている岸本がどんな解決策を見出すか。そして琉球がここから浮上できるかどうかは、シーズン後半戦における大きな見どころとなる。
