三輪美良々

序盤のシュートタッチ不振から脱却、劣勢を跳ね返す

大阪薫英女学院はウインターカップ決勝で桜花学園を66-61で下し、初優勝を達成した。

しかし、途中までは桜花学園のペースだった。立ち上がりから薫英は相手のプレッシャーに阻まれてガード陣が思うようにボールを運べず、クロックがない中での窮屈なオフェンスを強いられた。エースの三輪美良々もゴール下のシュートがリングに嫌われて得点が伸びない。

第2クォーター残り6分の時点で三輪はフィールドゴール9本中3本成功と低調。一番計算できるはずの三輪のシュートが決まらず、チームは12点のビハインドを背負った。ここで安藤香織コーチは三輪をほんの少しだけベンチに下げた。

この時を三輪はこう振り返る。「先生が『楽しんで、とにかく逃げずに打ちきれ』と言ってくださいました。それでいつもの自分じゃないなと分かって、コートに戻ったら自分らしくノビノビとしたプレーができました。私は『やらなきゃ』と思って自分を追い込んでしまうことが結構あって、先生の言葉に助けられました」

三輪がコートを離れていたのは2分足らず。それでも指揮官からの言葉で気持ちを切り替えた効果はてきめんだった。ゴール下のスペースを塞がれていても、相手とリングの位置を見極めて最小限の動作でズレを作り出し、高確率でシュートを決めていく。第2クォーターのラスト4分、三輪は3本のシュートをすべて決め、ブロックショットも2つ記録。第3クォーターには三輪が12得点を挙げ、試合をひっくり返した。

この2分弱の時間帯を除いてプレーし続け、さすがに終盤に疲れも見せたが、プレーの強度を落とすことなく最後まで戦い抜いた。「薫英でやれる最後の試合で、それで逃げたらどうするんだと思って、疲れなんか考えずに全力でやりきりました」と三輪は言う。

「やっぱり楽しむことです。楽しまなかったら絶対後悔するし、自分のプレーがなかなかできず、それで負けてきた部分があるので、『楽しむ一択』でやりきろうと思いました」

結果、三輪は38分の出場で30得点13リバウンド3ブロックを記録。エースの役割を全うし、チームにウインターカップ初優勝をもたらした。

優勝会見での三輪はこう語った。「私は1年生から試合に出させていただいていました。これまでは先輩たちを日本一にしてあげることができず、それがずっと悔しかったです。自分たちの代では絶対に日本一になるという強い思いを持って、40分間やり遂げることができました。支えてくれた3年生やチーム全員が一丸となれたからこその優勝だと思います」