松本璃音

足がつるも、最後までコートに立ち「安心しました」

「自分が薫英に入学してから1勝もできていなくて、この舞台で勝ててホッとしています」

大阪薫英女学院の松本璃音は京都精華学園のウインターカップ4連覇を阻んだ直後、そう語った。8点差に迫られた最終クォーター残り50秒、松本は3ポイントシュートを放ったと同時にリングへ向かい、自らリバウンドを確保。そのままゴール下を決めて勝負を決定づけた。ハードワークを続けていた身体は限界に近く、その瞬間に足がつった。交代ができない状況だったためコートに立ち続けたが、松本はそれを望んでいた。

「準決勝は自分が最後まで出て勝利に導きたかったです。ここまでずっとやってきたけど、そこでケガしちゃって代わるのは悔しい気持ちがあったので、0秒までできて安心しました」

薫英はインターハイで優勝した桜花学園に3回戦で敗れた。そこから冬の頂点を目指してきたが、安藤香織コーチは松本を含む下級生の自覚の変化が今の強い薫英を作ったと語る。「変わったことで言うと、インターハイで負けた後に松本や原(乙羽)とか細澤(幸生)あたりが、『自分たちがやらなきゃいけない』という自覚が芽生えたところがありました。3年生を抜くんじゃないかぐらいの勢いがあるので、2年生が雰囲気をすごい作ってくれたと思います。ウチは結構、真面目でおとなしいイメージなんですけど、2年生は結構やんちゃな感じがあるので、そこが良くなったところかなと思います」

松本は3本の3ポイントシュートを含む13得点に加え、チームハイの6アシスト、2スティールと攻守に奮闘。原は16得点3アシスト、細澤は7得点9リバウンド(5オフェンスリバウンド)4アシストと、名前の挙がった2年生が結果を出した。もちろん、3年生の活躍も見事で大黒柱の三輪美良々はチームハイの21得点を挙げ、キャプテンの幡出麗実は要所を締めて13得点を記録している。まさに全員が役割をこなしたからこその勝利だが、松本もそれに胸を張る。

「留学生がいるので、自分たちはそれに比べたら小さいです。前からプレッシャーをかけつつ、留学生のところもみんなでケアしながら、リバウンドも全員でやる『全員バスケ』を意識してやっていました。身長が大きい分、取られても仕方ないと思って、その後のリスタートを早くして、やられてもやり返すという強い気持ちを全員が持ってできました」

難敵を撃破し、目標の日本一まであと1勝に迫った。松本は恩師のバスケが正しいことを証明するためにコートに立つ。「絶対に優勝して先生に一番上の景色を見せたいです。安藤先生の指導が合っていたということを日本中の全員に見せつけたいです」