齋藤拓実

ゲーム2、大事な後半の出だしで見事な活躍

男子日本代表は、ホーム&アウェーで行われた『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』Window1チャイニーズ・タイペイ戦を連勝で終えた。中国、韓国と同組の日本は上位3チームが進出できる2次ラウンド行きに大きく前進した。

夏の『FIBAアジアカップ2025』は若手が多くメンバー入りしたが、目先の勝利だけを考えないといけないこのWindowではBリーグで活躍している即戦力のベテラン、齋藤拓実安藤誓哉原修太を久しぶりに招集。この3人がしっかりとトム・ホーバスヘッドコーチの期待に応えたことも2連勝をもたらす大きな要因となった。

特に、2試合続けて先発に抜てきされた齋藤は、緩急をうまく使った切れ味鋭いドライブによるペイントアタックでディフェンスを切り崩し、オフェンスの良いリズムを作り出した。また、ホーバスヘッドコーチも期待していた巧みなパスさばきによるビッグマンとの連携も光った。

ゲーム1終了後、齋藤は富樫勇樹、安藤と実力者がいる中で先発起用となったことに、「気持ちの高ぶりはありましたが冷静にプレーしようと意識していました。ただ、代表経験の長い富樫選手、そして安藤選手がバックアップにいるので本当に心強かったです」と語っていた。そして「オフェンスでの早い展開、ディフェンスのトーンを作ることは自分のチームでやっていることと同じです。それもあって、いつも通りで入れたと思います」と、平常心で臨めたと振り返っていた。

実際、ゲーム1の齋藤は所属する名古屋ダイヤモンドドルフィンズと同様に、攻守に渡るアグレッシブなプレーで日本代表のスタートダッシュを導き、26点差での圧勝劇に貢献した。

ゲーム2では立ち上がりで激しいプレッシャーにターンオーバーを喫し、チャイニーズ・タイペイの先行を許す一因を作ってしまった。しかし、そこからチームだけでなく、齋藤個人も見事なカムバックを果たした。第3クォーターには鋭いドライブからの技ありレイアップ、得意のピンポイントパスでオフェンスをけん引。最終的にゲーム2も8得点5リバウンド4アシストの活躍だった。

齋藤拓実

「ペイントアタックからパスを供給することはできた」

ゲーム2の終了後、齋藤は「試合に勝てたことが一番うれしいです」と語ったが、自身のプレーについては反省しきりだった。「個人としては第3クォーターで良いプレーがあったかもしれないですが、ターンオーバーもいくつかありました。ボールが滑ってしまったなどの言い訳はできないですし、それ以外でも判断ミスが試合を通して多かったです。限られたプレータイムの中でターンオーバーをしてしまうと、ゲームメークが難しくなってしまうと改めて感じました」

そして、この2試合の自身のプレーをこう総括する。「プルアップからの3ポイントシュートも狙ってはいました。ただ、早打ちにはなってはいけないですし、ディフェンスを見せペイントアタックをしたほうが良いと感じていました。ゲーム1、ゲーム2ともに、ペイントアタックからパスを供給することはできたと思います」

また、安藤、馬場雄大の2人とは齋藤がルーキーから2年間在籍したアルバルク東京以来の共闘となった。当時の齋藤は3番手の司令塔であり、チームの中心として活躍していた安藤、馬場がコートで躍動する姿をベンチから見守ってばかりだった。しかし、今回は代表という舞台で、同じ立場でプレーした。「ルーキー時代に一緒に過ごしたメンバーと、代表のユニフォームを着てまた戦えたことはすごく感慨深いものがあります」と振り返る。

今回のWindow1は、齋藤にとって先発として連勝に貢献できた達成感と共に、前回招集された2022年の時には失敗した代表定着に向け、ここからがスタートと気持ちを引き締める機会となった。

「スターティング5を任されたからには、勝利にしっかりと貢献したい気持ちはありました。自分を含め3人のポイントガードがそれぞれ持ち味を出せたと思います。個人として、これからもしっかり頑張っていきたいです」

さらなるステップアップに向けて貪欲な齋藤のプレーを、Window2でも見ていたい。