宇都直輝

「日本人がプッシュすることで、外国籍が良いシュートを打てる」

富山グラウジーズは、一昨シーズンのB2降格から昨シーズンのB2優勝を経て、今シーズン再び戦いの舞台をB1へ戻した。しかし、18試合を消化して513敗、西地区最下位と成績は伸ばせていない。クラブ所属9シーズン目、『富山の顔』と言える中心プレーヤーの宇都直輝は、バイウィークまでの戦いぶりを振り返る。

「速い展開が作れている時は良いです。アップテンポなオフェンスができている時は、自分たちのペースに相手を付き合わせられているので、良いショットを打たせないようにできています」

宇都の言葉通り、オールコートのトランジションスタイルが徹底できている時の富山は流れをつかむことができている。ハーフコートバスケでは課題もありながら、現在、平均23.9得点でランキング2位のトレイ・ケルや、昨シーズンB1得点王に輝いたブロック・モータムの得点力を生かせている試合も少なくない。しかし、それは課題でもあると宇都は話す。

 「トレイやブロックのプレーが多くなる時間帯があるので、バランスが大事だと思うんですよね。日本人選手のほうがシュート確率が良くないのは、どのチームでもあることですが、そこが仕掛けることで最終的に確率が良いところで点数が取れるので。僕に限らず、日本人選手がプッシュすることで外国籍が良いシュートを打てると思うので、そういうプレーを増やしていかなければいけません」

富山は宇都の平均10.0得点が日本人最多。他の日本人選手の得点は伸びておらず、外国籍選手の得点力に依存する戦い方になっていることは否めない。宇都はベンチポイントの少なさについても言及する。「僕がベンチから出る試合は10点くらい取って、日本人選手があと10点くらい取ってくれれば、スタメンも楽だし勝てる可能性は高くなります」

宇都直輝

「僕は自分を追い込めるタイプ」

富山のダビー・ゴメスヘッドコーチは、B2降格した滋賀レイクスを最短B1復帰に導いた手腕を買われて、B2に降格した富山のヘッドコーチに就任した。そして、富山もB1昇格と結果を出した。より良いチームになるため、ゴメスヘッドコーチの期待に応え続けなければいけないと宇都は話す。

「今シーズンもですが、昨シーズンも4クォーターで逆転されることが多かったです。ダビーからのプレッシャーがすごくて、みんなシュートが狙えなくなるんですよ。結果を出さないと交代ですし。でも、それは僕らも分かっていることなので、選手間で声を掛け合ったり、ダビーの期待に応えられるように結束していかないとです」

情熱的なゴメスヘッドコーチは、試合中でも激昂する場面は少なくない。それは本気でチームを信じて勝ちたいという気持ちの表れでもある。宇都は「昨シーズン、結果が出たので僕はダビーを信じています」と前置きした上で、ゴメスヘッドコーチのスタイルが新加入の選手にとってポジティブに働かないこともあると続ける。

「勝っていれば『これで良いんだ』と思えますけど、今年は勝てていないので、ダビーから求めれていることや期待されていることをバーっと言われた時に、100%そう思えない選手もいると思います」

だからこそ、宇都はチームメートへのアプローチは重要だと感じている。「僕がダビーのことを悪く言うことはないですし、『ダビーはああ言っているけど頑張ろうぜ』みたいな感じで、チームメートを良い方向に持っていかせて、チーム全体が前を向くことに繋げたいです」

宇都自身もゴメスヘッドコーチから激しく詰められる場面も少なくない。しかし、それは期待の裏返しととらえ、意に介していない。「ダビーから『君が集中していないと勝てない』と言われますが、『そう考えすぎるのも良くない』とも言われます。僕は自分を追い込めるタイプですし、プレッシャーは全然感じていないです」

富山グラウジーズ

「勝ちたいし、ダビーの期待にも応えたい」

そのようなチーム状況もある中、宇都は「勝てていない原因は僕ですね。ここ数試合、確率が悪くて……」と自身のパフォーマンスが勝敗に直結していると責任を感じている。

「勝利した試合は10点以上取れていますが、負けた試合は点が取れていないです」と話す通り、勝利した5試合は平均14.6得点、敗戦は平均8.2得点とその得点には大きな差がある。さらに「自分で決めきれていないシュートが多いです」と続ける。積極的にアタックを仕掛けていくスタイルのため、ファールをもらえるか際どいシュートも多いが、それをしっかり沈めていきたいと言う。

インサイドを主戦場とする外国籍選手が軸だった昨シーズンから一転、ボールを持つ時間が長い外国籍選手が加入したことで、宇都自身の持ち味が発揮できない場面もあるかと問うたが、まったく問題ないと話す。「やりにくさは感じていませんね。僕の得点パターンはほぼ11なので、無理ならキックアウトします。バランスが悪いなと思う時もありますけど、そのあたりの連携は今後よくなっていくと思います」

「昨シーズンも序盤戦は、そこまで良くなかった感じはありました」と宇都が話す通り、昨シーズンの富山はシーズンが進むにつれて連携が増し、スタイルが徹底され、B2優勝までたどり着いた。カテゴリーが異なるので簡単な話ではないが、チームメートやコーチ陣との関係がより良くなり、成績が上向くことに期待したい。

「引き続き、戦っていくしかないです。試合で勝ちたいですし、ダビーの期待にも応えたいので、ブースターの皆さんには支えてほしいですね。今シーズンは(富山市総合体育館市総合体育館の改修工事のため)ホームアリーナへのアクセスが少し良くないですが、だからこそ、試合に行こうか迷った時に一歩が踏み出せるようなチームでありたいです」

チームの中心を担う重みは、誰よりも知っている。苦しい成績で悩みも尽きないだろうが、宇都は前を見据えている。これまで富山で経験してきた苦楽を糧に、宇都の奮闘は続く。