レブロン・ジェームズ

ドンチッチには「彼のために最高のプレーヤーに」

レブロン・ジェームズの偉大なるキャリアは終わりが近付きつつある。NBAキャリア23年目、40歳という年齢を考えれば当然のことだ。ただし、今までと違うのはチームにおける彼の影響力が揺らぎつつあること。ルーキーイヤーから彼はどのチームにいても絶対的な存在だったが、レイカーズは昨シーズン途中に獲得したルカ・ドンチッチにシフトしつつある。レブロンはキャリアで初めて、新契約をオファーされないまま契約最終年を迎えている。

そしてレブロン自身も、過去何年かで何度か引退を思わせる発言をした。NBAの『生ける伝説』でありながらどこまでも人間臭い彼が、弱気に見えた時もある。

それでも2025-26シーズンの始動にあたり、レブロンはポジティブでハッピーだった。「愛するこのゲームをもう1年プレーできることにワクワクしている。この旅がどんな展開になろうとも全力で打ち込む。いつ終わりが来るか分からないけど、それが近付いているのは分かる。だからこそ、またメディアデーでこうして話し、シーズンを始められることに感謝している。何が起こるにしても、楽しみなんだ」

「僕を突き動かしているのは、バスケへの愛情だ。さらに言えば、身体を鍛えて100%のパフォーマンスを目指すこと、ハイレベルな試合に臨み、ハイレベルで回復し、良い睡眠を取って精神的にも準備をして、シーズンを戦うこと。そこで自分をどこまで追い込めるかというプロセスそのものを愛している。だからこそ、僕は今もプレーし続けることができるんだ」

そして、ドンチッチの存在もまた彼を押し上げる要素となっている。「ルカと一緒にプレーすることはモチベーションになるよ。彼のために最高のプレーヤーでなければいけないと思い、そのために身体を鍛える。そして僕らは互いに刺激し合う。もっとも、僕がキャリアをどれだけ続けるかの決断は、家族で下すことになる。それはチームメートではなく、僕と妻、2人の息子──そのうち1人は近くにいる、あとは娘と話して決める」

「23年目を迎える今、バスケ界で自分の走ってきた距離を認識し、それでもまだ高いレベルでプレーし、コート上で尊敬される存在であり続けるのは本当に素晴らしいことだ。僕はバスケを愛している。年齢なんか数字でしかないと思うけど、現実でもある。23年目の選手がこのレベルでプレーできた例はほとんどない。僕はそれを当たり前だと思わない。できる限りはバスケにすべてを捧げ、誰かを勇気付けられるように努めるつもりだ」

トレーニングキャンプの初日、レブロンは別メニュー調整となった。ヘッドコーチのJJ・レディックは「開幕に向けた調整はゆっくりでいい」と言う。「昨シーズンのキャンプではおそらくやりすぎた。彼にはこれまでの22年間で蓄積した疲労がある。長期的に見てやっていけばいい」

1年前はレディック体制がスタートしたところで、新たなバスケのバランスを探り、吸収する必要があった。だが今はその必要がなく、計画的にコンディションを高められる。レブロンの23年目のシーズンは、大いなるモチベーションとともにスタートした。

「僕は見た目も若いだろう?」とレブロンは笑った。「ワインみたいなもので、古ければ古いほど良くなるんだ」