
日本大をインカレ優勝に導く最高の形で大学生活を終えた米須玲音は、昨シーズン途中から川崎ブレイブサンダースに加入。シーズン終盤の12試合では先発出場するなど合計36試合で主力の一員として奮闘した。高校時代から定評のあるアシスト能力を生かしつつ、さらなる成長のために必要と感じていることを聞いた。(取材は負傷した9月14日以前に実施)
「前からプレッシャーをかけて相手が嫌がるディフェンスを」
──インカレ優勝後、特別指定選手として過ごした昨シーズンの総括をお願いします。
最初のほうはパスを回すことが多く、シュートを狙う意識が薄かったのですが、試合を重ねるにつれてスコアもできるようになったと思います。ただ、苦手なディフェンスに関しては成長できていなかった。今シーズンはもっとディフェンスに力を入れて、ミスマッチを突かれないようにしたいと思います。
──ディフェンスで特に苦労したのはどのような部分でしたか。
状況にもよりますが、スクリーンをかけられてスイッチした時です。相手のビッグマンをフィジカルに守らないといけない。また、スクリーンに引っかからないための足の使い方などを練習からもっと意識して取り組んでいけば試合に生かせたと思います。そういったフィジカル面の苦労だけでなくオフボールディフェンス、カバーディフェンスの位置取りなど、技術面でもいろいろと高めないといけないと痛感しました。体力がないわけではないので、もっと前からプレッシャーをかけて相手が嫌がるディフェンスもやらなくてはいけません。
──オフェンスに関しての自己評価を教えてください。
36試合プレーした中で、終盤の数試合は良い形でできたと思います。ただ、得点が伸びるとアシスト数が減ってしまう傾向が見られました。アシスト数を維持しつつ、得点を増やさないといけないです。そうでないとパスが出せない時にシュートが入らなかったら何もできなくなってしまう。1試合で10点以上を取りつつ、アシストも5本以上を記録できるようになりたいと強く感じました。
自分のプレーができたと思えたのは最初の2〜3試合と最後の数試合のみ。その間はスカウティングをされて思うようなプレーができず、得点を伸ばさないといけないのに遠慮をしてパスを優先してしまっていました。4月23日のシーホース三河戦で初めて2桁得点を記録したのですが、これは試合の前に(篠山)竜青さんから「まだ2桁取ってないの?」と言われ、やるしかないと思ってプレーした結果でした。得点力を向上させるためには、どんどんシュートを打っていくという気持ちの問題も少しはあると感じました。

「特に連戦で同じ相手に負けてはいけない」
──目標とするスタッツを残すために大切なことは?
シュート力はもちろんですが、ディフェンスとの駆け引きをもっと向上させていきたいです。昨シーズンはアンダー(ピック&ロールのディフェンスでシュートがないと判断されドライブへの警戒を優先した守り方)で守られることが多かったので、アンダーをされたら初っ端でシュートを打ち切れるマインドが大事だと思います。そこで最初のシュートが入れば、相手は次からは間合いを詰めて守ってこないといけない。そうなればビッグマンとのコンビによるピックを用いたプレーで、守備のズレを作りやすくなります。
そうなった時もまずはパスを選択するのではなく、得点をとりにいく。得点をとっていれば、相手はパスへの警戒が薄れていく。それができればプレーの幅が広がると思います。今シーズンはアシストよりもまずは得点。シュートアテンプトを増やすことを意識していきたいです。
──Bリーグに入ってからも、学生時代から代名詞だった自陣から敵陣へのロングパスで一気に得点を挙げる場面が印象的でした。プロになってパスが通る難易度は高くなりましたか。
タッチダウンパスが通るチャンスは少なくなってきていると思います。でも、出せると感じた時には出したいです。相手に取られるくらいなら味方がキャッチミスしてターンオーバーになるほうが良いと考え、前のほうに出すことを意識していました。
大学とプロでは選手のサイズや運動能力が違うので、どのような高さとタイミングでパスを出せば通るのかをつかむまでに時間がかかるとは思っていました。ですが、実際にプレーしてみると味方の一人ひとりの特徴をわかった上でパスが出せていましたし、思った以上に難しかったという印象はないです。その中で、想定以上の身体能力でパスをカットをされたのはケヴェ・アルマ選手(琉球ゴールデンキングス)、ザイラン・チータム選手(元・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)。「あれ、そこに届くの?」という誤算がありました。大学では出せたタイミングでも出せないという場面はあったと思います。
──インカレ優勝を達成した直後に加入した川崎では、負けが続く結果となりました。主力として起用される中で負けが続いたことは苦しかったですか。
自分が成長するために毎試合プレーをしていましたが、チームのことはしっかりと考えて戦っていました。連敗が続いた時に「自分たちは何をしているんだろう?」と思うことはありました。その時は苦しかったですね。今シーズンはそうならないように連敗を避けたい。特に連戦で同じ相手に負けてはいけないです。