悲願達成まであと1勝に迫ったカイル・ラウリーが考える『プレッシャー』の定義

2019/06/10
NBA&海外
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カイル・ラウリー

「守るべき人を守るために努力する人がヒーロー」

ラプターズ在籍7年目のカイル・ラウリーは、盟友デマー・デローザンとの時代からチームを引っ張り、球団初優勝に王手をかけたチームの土台を築いてきた。もしこのまま優勝を果たすことができれば、感慨深いキャリア初優勝になるだろう。

初の栄冠まであと1勝に迫れば、緊張や重圧に押し潰されてしまっても不思議ではない。しかしラウリーにとってのプレッシャーとは、優勝に王手をかけた状態ではないという。

本拠地スコシアバンク・アリーナで行なわれる第5戦前日、メディアとの質疑に応じたラウリーは、プレッシャーという言葉を聞いて思い浮かぶことを聞かれると、自身が尊敬する人間像について語り始めた。

「自分の母と祖母が、僕や兄弟たち、従兄弟たちを食べさせるためにやってきたことを思い浮かべる。朝の5時に起きて、仕事に向かうんだ。その前には、僕のためにシリアルを作ってくれるし、冷蔵庫にはシリアルと牛乳が入ったボウルを入れておいてくれる。僕や兄弟、家族を食べさせてくれた。それがプレッシャーというもの。プレッシャーというのは、自分にとってはそういうこと。自分の子供に、自分が見てきた世界より良い世界を見せるために、やらないといけないことを進んでこなす。毎日、公共の交通機関を使って、1時間半もかけて仕事に行って、家族を食べさせるため、守るべき人を守るために懸命に努力する。そういう人こそ、自分にとってのヒーローなんだ」

会見には、子供記者の姿もあり、物怖じせずラウリーに質問。「カナダ中の子供たちにとってあこがれの存在でいる気分はどうですか?」と聞かれると、ラウリーは「すごい質問がきたな。そんなこと聞かれたのは初めてだよ」とはにかみ、こう続けた。

「なんて答えればいいのかな。そうだな、こういうふうに言ってみよう。自分も昔は、君と同じくらい幼かった。子供たちに自分のようになりたいと思ってもらうためには、ものすごくレベルが高い行動基準を持ち続けないといけない。子供たちや君たちには、自分の仕事に真剣に取り組む真のプロフェッショナルな人間の姿を見てもらいたい。そういうプロは、それでいて面白いし、愛情深くて、思いやりがあるんだよ」

大好きなバスケットボールのプロ選手となって生計を立て、トップクラスに上り詰めたラウリーにとって、NBAファイナルはあこがれの舞台であり、重圧を感じる場ではないのだろう。彼は、これまでと同じようにプロとして仕事を全うする。その姿勢は、明日の第5戦でも変わらない。