カイル・ラウリー

1年間の出入り禁止と50万ドルの罰金処分

オラクル・アリーナで行なわれたNBAファイナル第3戦で事件は起こった。第4クォーター序盤、ラプターズのカイル・ラウリーがルーズボールを追って最前列の客席に飛び込んだ後、ある男性がラウリーの身体を強く押しのけ、強い口調で言葉を浴びせた場面が話題になった。

試合後の会見で、ラウリーは「品のない言葉を浴びせられた。このリーグには、彼のような人間の居場所はない。二度とNBAの試合を見に来ないでもらいたい」と痛烈な言葉を残した。

ウォリアーズが調査した結果、この男性は球団の共同オーナーの一人であることが発覚。そして、試合から一夜明けた6月6日、NBAとウォリアーズは、共同オーナーを務めるマーク・スティーブンズに対し、NBAの試合ならびにウォリアーズのチーム活動への1年間の出入り禁止、そして50万ドル(約5400万円)の罰金処分を科した。

『ESPN』によればスティーブンズは、ラウリーとのやり取り後に退席を求められ、会場の外まで連れ出されたという。

NBAと球団からの処分を受け入れたスティーブンズは声明を発表し、ラウリーとラプターズ、そしてウォリアーズに直接謝罪する行動を取ったことを明かした。また、ラウリーの財団に寄付をする意思があるとも伝えられている。

リーグとウォリアーズが処分を発表した後、明日の第4戦前日会見に出席したラウリーは、今回の件について「我々選手を守ってくれたリーグとウォリアーズの対応に感謝している」と語った。そして、この一件後も試合中に冷静さを保てた理由をこう語っている。

「チームが自分を必要としていたし、世界中のファン、子供たちが試合を見ていることも分かっていた。自分は大人で、子供もいる。自分の子供たちが、繰り返し今回の場面を見ることだって考えられた。もし今回のような状況でなければ、自分の対応も違っていたかもしれない。ただ、僕は2人の子供がいて、模範的な行動を取るべき人間だ。それを続けないといけない。彼のような男のために腹を立てるなんて、馬鹿げている」

盛り上がっているファイナルに水を差す愚行は残念だが、共同オーナーという『権力者』に対しても忖度なく、わずか1日で厳しい処罰を発表したリーグの判断は素晴らしいものと言える。