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チームとしての対応力を生かしパーカー不在の穴を埋める

スパーズとロケッツの西カンファレンス準決勝第3戦は、盤石の試合運びを見せたスパーズが押し切り、103-92で勝利した。

第2戦で膝を痛めて今シーズン絶望となったトニー・パーカーに代わり、先発ポイントガードを務めたのは20歳のデジャンテ・マレー。立ち上がりからパトリック・べバリーの猛プレスに苦しみながらも何とかつなぎ、ボールをプッシュする役割をカワイ・レナードに切り替える対応を取った。試合開始からの約5分をマレーがつないだ後は、パーカーの控えポイントガードを務めるパティ・ミルズがコートへ。こうしてスパーズは先発ポイントガード不在のアクシデントを乗り切った。

そしてディフェンス面ではパーカー不在を感じさせない出来。ペイントへのアタックにしっかりと身体を寄せて対応、アウトサイドのシュートは高確率で決められたものの、インサイドをがっちり固めることでロケッツの爆発力を封じた。

その後にロケッツがリードする時間帯もあったが、得点がアウトサイドからに偏っており、速攻からイージーチャンスを作ることもできておらず、攻守のバランスで上回るスパーズの展開になっていく。ジェームズ・ハーデン不在の間、パウ・ガソルのパワーとレナードのスキルを生かして追い上げ、ハーデンがコートに戻って最初のプレーで中央突破を狙ったところを囲んでボールを奪い、マレーが速攻を決めて25-26に詰め寄る。その後は1ポゼッション差で推移した第2クォーターだが、最後はレナードが個人技から連続得点を奪い、43-39とスパーズがリードして折り返した。

第3クォーターは攻守が噛み合うスパーズが突き放しかけるも、ハーデンが強烈な個人技で巻き返す展開に。それでもロケッツは前半に23本中8本を決めていた3ポイントシュートの確率を維持できず、次第に持ちこたえられなくなり、66-72で第3クォーターを終える。

攻守のバランスを保ち、流れが来るのを待ったスパーズ

72-66で迎えた第4クォーター、残り7分を切った場面でスパーズが抜け出す。執拗な守備で24秒バイオレーションを誘い攻撃に転じると、ロケッツの厳しいプレスに遭いながらもセカンドチャンスからゴール下を破ったラマーカス・オルドリッジがバスケット・カウントとなる3点プレーを決めて81-72に。ハーデンのフリースローで2点を返されるも、続くポゼッションでオルドリッジは単独突破から難しいジャンプシュートを沈め、さらにはゴール下でマークに付くハーデンを駆け引きで振り切り、イージーシュートを沈めて85-74と点差を2桁に広げた。

点差は2桁になっても、まだ残り5分半と時間は残されていた。だが、ここからロケッツは様々な手を打って巻き返しを図ったが、スパーズのディフェンスが上回る。試合のペースを落とし、連続得点を許さないことで、10点前後の差をキープしたまま時計を進めた。あっという間に残り時間は1分4秒で、100-90と10点差のまま。とにかくポゼッションの数を増やしてチャンスを見いだしたいロケッツの思惑を逆手に取るようにパスミスを誘い、じっくりと時間を使った攻めからミルズが3ポイントシュートを決めて勝負アリ。103-92でスパーズが余裕の勝利を収めた。

レナードと並ぶチームハイの26得点を挙げたオルドリッジは試合後にこう語っている。「チームが僕に求めるプレーをしたまで。アグレッシブにプレーして、自分からアクションを起こそうとした。確かに調子は良かった。ミスマッチをうまく突いた点でロケッツを上回ったと思う」。パーカーの不在については「いずれ殿堂入りする選手、彼の代役は誰にも務まらない」とコメント。「チームの危機を受けて、みんながいつも以上にハードにプレーしたのが結果につながった」と話す。

敵地での試合に勝ったスパーズは、これでシリーズの通算成績を2勝1敗とした。第4戦は中2日を置き、同じくトヨタ・センターで行われる。