カワイ・レナード

レナード対策を徹底しすぎたことがウォリアーズの敗因に?

1995年のチーム創設から初めてNBAファイナルに進んだトロント・ラプターズ。チームの歴史を作ってきたレジェンドも試合前のセレモニーに集まりました。しかし、このチームをファイナルへと導いたのは、たった1年前にチームに加わったカワイ・レナードです。

プレーオフになってから圧倒的な個人能力を見せつけたエースは、プレーオフにおけるチーム1889点のうち約30%となる561点を一人で奪ってきました。ラプターズに足りなかったプレーオフでの勝負強さを遺憾なく発揮し、個人で強力にチームを牽引する姿は、たびたびマイケル・ジョーダンと比較されてきました。

そんなレナードに対してGAME1でのウォリアーズはほぼ完璧な対策を披露しました。3ポイントシュートこそ6本打たれましたが、マッチアップのアンドレ・イグダーラのディフェンス力だけでなく、ドレイモンド・グリーンとケボン・ルーニーのヘルプで得意のジャンプシュートを打たれる前に囲い込むことでインサイドでの得点を封じ込めました。

GAME1では17回のドライブを試みたレナードでしたが、フィールドゴールの成功は1回のみ。巧みにファウルを引き出してフリースローで得点を挙げるシーンこそあったものの、その個人突破は有効なオフェンスパターンにはなりませんでした。

ファイナルに向けて準備してきたであろう戦略が成功したウォリアーズでしたが、レナードへの高い集中力が逆にラプターズのチームオフェンスを機能させてしまったのも事実です。プレーオフ平均290本だったラプターズのパス数は310本まで増えました。

そのパスターゲットとなったのがパスカル・シアカムです。パスを受け取る回数はプレーオフ平均40.5本だったのが、このGAME1では53本まで増えました。ラプターズにとっては増やしたパス本数の半分以上がシアカムへのものだったことになります。そのシアカムが32得点を挙げて勝利の立役者となりました。

レナードにイグダーラ、シアカムにグリーンをマッチアップさせたウォリアーズでしたが、ヘルプ担当のグリーンがレナードに寄ることがマイナスに働きました。中2日で行われるGAME2ではシアカムへの警戒を強めることになるでしょうが、レナードに自由を与えるわけにもいかないため、マッチアップを変更しグリーンにはヘルプディフェンスに集中できる策を講じてくるかもしれません。

実際、シーズン中の対戦ではイグダーラやケビン・デュラントがマッチアップすることも多くありました。GAME1でのシアカムの大活躍は今後の戦略を大きく変えることになりそうです。

GAME2でもデュラントは欠場が濃厚。ウォリアーズはトランジションに勝機を見いだすことになります。しかしステフ・カリーとクレイ・トンプソンのスプラッシュブラザーズが2人で7本の3ポイントシュートを決め55点を奪いましたが、ラプターズのインサイドカバーディフェンスに阻まれ、ペイント内得点が35点とプレーオフの平均45点から大きく落ちました。

より走れるメンバーを並べてイージーシュートの機会を作るのか、それともインサイドでの堅実性がある選手を、つまり復帰したデマーカス・カズンズのプレータイムを増やすのかもGAME2の注目点です。

ほぼ完璧だったウォリアーズのレナード対策でしたが、それを逆手に取ったようにチームオフェンスを機能させたラプターズ。GAME2でも変化してきそうなウォリアーズのゲームプランを受け止めて上回ることが出来るのかどうか。

試合に出た9人全員が3ポイントシュートを打っており、初のファイナルながら積極的なプレーぶりが目立ちました。バックスとのシリーズではフレッド・バンブリートとマルク・ガソルが次々と3ポイントシュートを決めただけに、誰もがヒーローになる準備ができていそうです。