文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

川崎が攻守ともに完成度の高いバスケットを展開

川崎ブレイブサンダースと横浜ビー・コルセアーズのレギュラーシーズン最後の神奈川ダービー。金曜ナイトゲームで行われた第1戦は、攻守ともに洗練されたパフォーマンスを見せた川崎が、クォーターごとに点差を広げ92-63で快勝した。

序盤は横浜の細谷将司がボールをプッシュし、素早いトランジションから速攻を決めてリードを奪うも、川崎が連動したハーフコートバスケットで逆転し、その後も得点を積み上げていった。特にディフェンスを崩してからの3ポイントシュートが効果的に決まった。

勝利した北卓也ヘッドコーチが「オフェンスではボールを動かしてノーマークの選手が良いシュートを決めた」と語るように、川崎はボールと人が常に動き、ズレを作ってノーマークを作り出していた。

前半を終えて35-51とリードを許した横浜だが、決して自滅したわけではなく、形は作れていた。しかし、フィニッシュの局面で差があった。細谷は「ウチのシュートの確率が悪かった。インサイドにボールをいれた時に孤立してしまい、1対1の状況になってしまった」とチームで攻められず、個の勝負になってしまったと冷静に振り返る。

細谷が言うように最も大きな差が出たのがシュートに持っていくまでの過程だった。同じピック&ロールでも、ズレを作れずマークを受けながらのシュートでは確率は上がらなかった。

「やりたいディフェンスがゲーム中に崩れてしまった」

最も差が開いた第3クォーターでは、ニック・ファジーカスが3ポイントシュートを含むすべてのシュートを成功させ、横浜の総得点を上回る12得点を稼いだ。『ファジーカス・デー』と銘打たれた試合でゲームハイの26得点を記録している。

敗れた尺野将太ヘッドコーチが「チームとしてやりたいディフェンスがゲーム中に崩れてしまった」と語るように、止めどころを見失ってしまった。「ファジーカス選手や辻選手といった得点力の高い選手に誰がつくのか不明確になってしまって、その結果ボールが動いていいシュートを打たれてしまった」と92失点を振り返った。

高確率でシュートを決められることでリバウンドの機会がなくなり、横浜は得意のトランジションゲームに持ち込めず得点が伸び悩んだ。ファジーカスを相手にフィジカルで挑んだファイ・パプ月瑠が13得点を挙げるも、2桁得点は一人だけ。力負けだった。

川崎はケガから復帰したライアン・スパングラーが試合をこなすごとにパフォーマンスを上げ18得点、辻直人も4本の3ポイントシュートを高確率で沈め14得点。楽勝ペースできっちりとタイムシェアをする中で、2番手のポイントガードである藤井祐眞が13得点、ジュフ磨々道がファジーカスとスパングラーを休ませるタイミングで激しく頭脳的なディフェンスできっちり流れをつなぐなど、各ポジションで充実ぶりが目立ち、チャンピオンシップに向けて順調な仕上がりを見せている。

横浜は残留プレーオフ圏内から抜け出すためにも、明確になった課題をどこまで修正できるかが問われる。