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コービー「僕もジョーダンも、フィルとは衝突した」

ニックスの球団社長フィル・ジャクソンと、エースのカーメロ・アンソニーの関係は修復不可能なのだろうか?

既報の通り、ジャクソンは今シーズン最後の会見で、アンソニーをトレード要員として考えていることを明かし、ジャクソンが掲げる『トライアングル・オフェンス』を軸としたチームに合致しないとの判断を下している。

しかし、アンソニー自身はニックスを退団する考えを公にしたことはない。残り2年の契約には『トレード拒否条項』が含まれているため、去就は本人次第という状況だ。

現在のニックスは、改めて再建に着手する段階を迎えた。来月33歳の誕生日を迎えるアンソニーに残された時間は限りがあるため、悲願のNBA優勝を達成したいのならば、『勝てるチーム』に行くのが得策という考えもある。

しかし、ジャクソンとアンソニーに関係改善をアドバイスする人物がいる。レイカーズ時代にジャクソンと合計5回の優勝を果たしたコービー・ブライアントだ。

ブライアントは『New York Post』に対してこう語っている。「マイケル・ジョーダンも俺も、フィルとは衝突した。何度か優勝という結果を残した後も衝突した。それでも僕とフィルはいまだに繋がっている。乗り越える方法を見いだせたからこそ、良い結果が生まれたんだ。大事なのは、辛抱強く、寄り添い合うこと。ただ、上手く行く例もあれば、そうではないこともある」

最近はアンソニーとあまり連絡を取っていないというコービーは、自身とジャクソン、アンソニーとジャクソンの関係性の違いについても、次のように話している。

「一番の違いは、フィルがチームを指揮しているかどうか。それでも、難しい状況を乗り越えれる」

コービーは、シャキール・オニールとともに2000年から3連覇を達成した後、オニールの機嫌ばかりをうかがうクラブの態度に腹を立て、ジャクソンとの関係が悪化。「自分かシャックか」をクラブに迫った。結果、レイカーズは2004年のオフにシャックを放出した。この年にジャクソンもレイカーズの指揮官を退いたのだが、1年後に復帰。その後のジャクソンとコービーの関係は改善し、2009年から2連覇を達成した。

コービーとジャクソンの関係と、アンソニーとジャクソンの関係を単純に比較することは難しい。もはや『トレード拒否条項』さえ破棄すれば、優勝が可能な強豪への移籍を希望するアンソニーと、『トライングル・オフェンス』に合致するタイプの選手獲得を希望するジャクソンの願いは叶う。

しかし、どんな代役を獲得したところで『トライングル・オフェンス』がうまく行く保証はない。クリスタプス・ポルジンギスを筆頭に選手たちに影響力のあるアンソニーを追い出すことで生まれるマイナスも小さくはないはずだ。

ジャクソンとアンソニーが膝と膝を突き合わせて話し合い、チームの環境を壊さない手筈を整えることが絶対に必要だ。アンソニーが残留するにせよ退団するにせよ、エースと編成のトップは、それぞれの責任を果たさなければならない。