渡邉裕規

栃木ブレックスの渡邉裕規はレギュラーシーズンの60試合すべてに出場し、49勝11敗という歴代2位の好成績に大きく貢献した。過去2シーズンはシックスマンでの起用が多かったが、52試合で先発を務めて今まで以上の存在感を発揮したシーズンを振り返ってもらうとともに、オフの過ごし方を聞いた。

一番のリフレッシュは「バスケットのことを考えないこと」

──長いシーズンお疲れ様でした。選手によってオフの過ごし方はそれぞれだと思いますが、渡邉選手は現在どのようにオフを過ごしていますか?

筋トレはしてますけど、バスケットは一切してないですね。する必要がないんでね。

──する必要がないというのは?

したほうがいいですか(笑)。

──いえ、シュートの感覚だったり、シーズン中に高めたものをキープしようとしないのかなと疑問に思っただけです(笑)。

散々やっているので、僕は一回は離れますね。もちろん積み重ねは大事ですけど、離れたことでシュートが入らなくなるっていう不安はないですし、今はどちらかというと身体を休めることかなと思います。頑なにバスケットから離れたいわけでもないんですけど、365日バスケットかと言われると僕は違いますね。

──身体を休めることを優先しているとのことですが、ファイナルの解説をしていらっしゃいましたね。

意外とそういう仕事もあるんですよ。時間はたくさんありますけど、シーズン中にできないこともたくさんありますし。いろんなことに興味があるので。

──落語が好きとうかがっていますが、一番リフレッシュできるのは落語ですか?

落語じゃないですね。バスケットのことを考えないことじゃないですか(笑)。ずっと遊んでるわけではなく、トレーニングもするし、バスケットのことも考えますけど、いつ始めるのか、という話です。僕は別に海外挑戦するような意欲もなければ、代表に呼ばれるような選手でもないので。できるだけチームに力を尽くすという意味では、疲れをしっかりとって、リフレッシュすることがオフの過ごし方になりますね。

渡邉裕規

スタメン起用での変化「考える時間は長くなりました」

──渡邉選手は現役引退と復帰を経験しました。そのことによる心境の変化はありますか?

特にないです。ただ、今シーズンはスタートで出させてもらったし、今までのバスケ人生の中でもプレータイムが長いシーズンでした。今までも別に考えてなかったわけじゃないですけど、1試合で携わる比重が大きくなり、責任感もそうだけど、必然的に考える時間は長くなりましたね。

チームとしてチャンピオンシップに出て優勝することが目標でしたけど、60試合にしっかり出ることが個人の目標でした。ケガをしなかったらって言いますけど、意外に難しいことじゃないですか。うまいこと60試合に出れたので、そういう意味では辞めてた時よりしっかりバスケットを楽しめましたね。

引退する前は引退のことを少し考えたり、バスケット以外のことを考えたりした時期もありました。今はよりバスケットしかないので、そういう意味では考える時間は増えたと思います。

──それはチームでの役割や責任が大きくなったから、考える時間も増えたということですか?

もう若い選手ではないですから。ノリと勢いでやるだけでは勝てないですし、そうせざるを得ない状況というのはありますよね。去年は途中からだったので、まず身体を戻すことが大事でしたし。でも、やっぱり責任感が増えたからっていうのもありますね。アルバルク東京とか千葉ジェッツみたいなチームに勝つために、チームに何が足りないんだろうとかは、以前よりも考えるようになりました。

復帰してすぐの時は、優勝とかそんなに思えなかったですし。そういう意味では、勝利することの楽しさだったり、バスケットの本質的な楽しさというのを、今シーズンはより知ることができたと思います。