「タフショットを打たせることを常に心掛けている」
千葉ジェッツは今週末に行われた仙台89ERSとの対戦で、連日の大勝を収めた。第2戦のヒーローに選ばれたのは、チームハイの20得点を挙げ、ディフェンスでも抜群の存在感を見せたヒルトン・アームストロングだ。
ディフェンスのイメージが強いアームストロングだが、平均得点もほぼ2桁(9.9得点)を記録している。
20得点というオフェンス面での働きについては「コーチの指示でディフェンスからやろうと言われ、そのディフェンスをやろうとした意識がオフェンスに良い影響を与えた」と、やはり意識としてはディフェンスから入っているようだ。
この日の千葉は、チーム総数12本の3ポイントシュートを決めたことで大量リードを生み出した。ただ、それもインサイドにしっかりとした軸があるから。大野篤史ヘッドコーチは「インサイドアウトの形がうまくいった」と勝因を語っているし、アームストロングも「他のチームにはないアウトサイドシュートがウチのストロングポイントで、アウトサイドと自分でいい形ができたと思う」と言う。示し合わせたように同じ回答が出ることに、チームの一体感を感じる。
強固なプレスを突破したその先に待ち受けるヒルトン
今シーズン4度目の100点ゲーム。その攻撃力に目が行きがちだが、大野ヘッドコーチを始めどの選手も「ディフェンスのマインドセット」をキーワードにするとおり、千葉はディフェンスのチームだ。昨日は53点、今日は61点と、リーグ最少失点の仙台が相手とはいえ平均(67.9点)より10点少なく抑えたディフェンスを忘れてはいけない。
強固なプレスを突破したその先にヒルトンが待ち受けているのだから、相手にとっては一苦労だ。
ヒルトンも「特にブロックショットを狙っていて、相手にタフショットを打たせることを常に心掛けてるんだ」と語る。そして、「ディフェンス面に関しては大黒柱だと思って、リードしているつもり」とその大きな胸を張る。
意識しているというブロックショットでは、リーグ全体で5位(1.5)の数字を残している。立派な数字だが、その数字よりも相手に与える影響はもっと大きい。ブロックショットを意識させるだけで攻め手は意識し、その存在感だけで相手のシュートを狂わせる。
活躍の秘訣は「仕事を遂行する」という強い責任感
ヒルトンはここまで出場した53試合すべてで先発出場し、常に安定したパフォーマンスを続けている。ベンチからではなく、先発で出場できている理由については、「シーズンを通して、思うようなプレーができない時や、調子が悪い時はあるけど、自分の仕事を遂行するという気持ちを常に持っているからじゃないかな」と責任感をその理由に挙げた。
弱いチームであれば、ハッスルプレーでチームを盛り立て、ビッグプレーで「たまに」勝利をもたらしてくれればいい。だが強いチームであれば、それが特に外国籍選手であればなおさら、確実な仕事が求められる。実際は派手なプレーが多いものの、印象としては落ち着いているアームストロングこそ、『強いチーム』に収まるピースなのだろう。
また外国籍選手の故障で戦力ダウンに直面するチームが複数ある中で、ケガなくやれている秘訣を聞くと「たくさん寝ることだね」と少年のような笑顔を見せた。211cmのヒルトンに合うベッドがあまりなく、椅子をベッドにくっつけて長さを補っていると、苦笑いを浮かべながら教えてくれた。
次節には栃木ブレックスとの大一番が待っている。「1点差だろうが、40点差だろうが点差に関係なく、勝つことだけを考えたい」とアームストロングは意気込む。一つでも上の順位を目指し、ヒルトンはすでに『迎撃態勢』に入っている。
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