注目の立ち上がり、15-3と見事な先制攻撃に成功
4月22日、サンロッカーズ渋谷が川崎ブレイブサンダースと対戦。ロバート・サクレが18得点14リバウンドと攻守でチームを牽引すると、4人が2桁得点、7人が7得点以上を挙げるなどチーム全体でバランス良く得点を重ね、84-71で快勝した。
前日に80-87で敗れた最大の要因は、第1クォーターで8-28と出だしで大きくつまずいたことだった。しかし、「昨日のゲームを受けて、本当に今日の出だしをどうするのかは、みなさんも注目されていたと思います」とBTテーブスヘッドコーチが語ったが、今日のSR渋谷は試合開始から8連続得点を挙げるなど、開始約4分で15-3と見事な先制攻撃を見せた。
その後、川崎もニック・ファジーカスの得点などで盛り返し、前半はSR渋谷の47-44と五分五分の展開で終える。第3クォーターに入っても一進一退の攻防は続くが、SR渋谷はインサイド、アウトサイドでバランスよく得点を重ねてリードを保った。
そして第4クォーター、良い流れをキープするSR渋谷は残り約7分にサクレがオフェンスリバウンドからの豪快なダンクでバスケット・カウント。これでリードを11点に広げると、あとは川崎の反撃を抑え、青山学院記念館での今季ラストゲームを難敵相手に勝利で締めくくった。
得点王ファジーカスを組織ディフェンスで抑える
テーブスヘッドコーチは、勝因について次のように語る。「作戦部分で言うと、相手のピックプレー、2対2についての守り方を大きく変えました。また、昨日ビッグマンラインアップ(満原優樹、アイラ・ブラウン、サクレもしくはアールティ・グイン)がうまくいった部分があったので、引き続き使いました」
「ハーフタイムの時点で点を取れていましたが、一方で川崎さんに点を取らせてしまっており、向こうのペースになっていました。しかし、後半は第3、第4クォーターとディフェンスをしっかりやれました。特に最後の5分は、そんなに点を取れたわけではなかったですが、リバウンドやルーズボールなど、ディフェンスでハードにプレーできました」
この試合、SR渋谷のディフェンス面で特に光っていたのがファジーカス封じだ。「前半は高確率で決められてしまっていたが、後半はチームでしっかり守る意識でプレーしました」と指揮官が語るように、組織としての守りを徹底。その結果、ファジーカスのシュート成功率は第1クォーター6本中5本成功、第2クォーター4本中2本成功、第3クォーター5本中1本成功、第4クォーター5本中成功なしと、徐々に下がっていった。
また、オフェンス面については、「今日、見せたプレーは本来、チームが出したいものです。サクレが加入し、その中でどうやって彼を使うのか、最初は手探りの状態でした。彼はオフェンスのスター選手というタイプではなく、NBA時代も守備の仕事人というイメージでした、彼に攻撃で大きく頼るというより、チームで点を取る。バランス良く点を取れることを目指していて、それができてきています」と手応えを語っている。
北ヘッドコーチ「すぐに良くなるとは思っていない」
攻守で充実のプレーを見せたSR渋谷だが、サクレも「今、個々の役割であり、連動してプレーするタイミングの共通認識ができています。今はシーズンで一番良いバスケットボールをできている」と自信を見せている。
また、サクレはファジーカス対策について「チーム全員がしっかりプレーできた。作戦を変えたのが功を奏した」とコメント。そして大学時代、チームメートだったライアン・スパングラーとの再会については「彼とは仲が良く、自分にとってのリトルブラザーといった存在。彼が日本で成功しているのはうれしい。自分たちとのゲーム以外で活躍する姿を見ていきたい」と続けている。
一方、川崎の北卓也ヘッドコーチは「悪いなりに付いていってはいましたが、最後の勝負どころで一つのオフェンスリバウンド、一つのシュートが決まる、決まらないが結果につながったと思います。ポイントでゾーンディフェンスを使った時、ディフェンスで止められてはいましたが、自分たちが攻撃でシュートを決められず流れが来なかった」と総括。
そして前日、ケガからスパングラー、辻直人が復帰し、オールジャパン以来ようやくフルメンバーが揃ったことには、「コンビネーションなどチームの連動性で、ちょっとズレている。そのズレのところを突かれてしまいシュートを決められたのが何回かあったので修正していきたい。ただ、すぐに良くなるとは思っていないので、こういうゲームを経験することでコンビネーションを高めていきたいです」と述べている。
オフェンスで目指す形の精度が高まっていることを示し、リーグ屈指の破壊力を誇る川崎オフェンスを71点に抑えることができた渋谷。フルメンバーで2日間を戦い抜くことができた川崎。ともに様々な収穫のあった連戦となった。