石井講祐

「シューターの中で3ポイントシュートは特別な意味がある」

『B.LEAGUE AWARD SHOW 2018-19』が5月11日に行われ、千葉ジェッツの石井講祐が『ベスト3ポイントシュート成功率賞』を受賞した。

ファイナルでアルバルク東京に敗れ、悲願の優勝は果たせなったが、今シーズンの千葉は過去最高勝率となる52勝8敗でレギュラーシーズンを終えた。60試合中58試合で先発を務めた石井は、この『高値安定』のチーム成績を残す上で必要不可欠な戦力だった。1年目のベスト3ポイントシュート成功率賞は金丸晃輔(シーホース三河)の42.6%、2年目は喜多川修平(栃木ブレックス)の41.7%での受賞だったが、今年は石井が45.2%という過去最高の成功率を叩き出しての受賞となった。

「シューターの中で3ポイントシュートには特別な意味がある」と、石井はこの賞に対する思いを口にした。「日本を代表する選手、シューターになる、という大きな目標がある中で、そういう選手なら取って当然のタイトルだと思うし、一番取りたいタイトルでした」と、石井は言う。

「シーズン前から『今年はタイトルを取る』って決めて、周りにも言って、自ら取りにいきました。そのプレッシャーの中で取ったので、気持ちの面でも結果を出したと思います」。自分の目標を公言することはプレッシャーにもなる。それでも石井はタイトル獲得に対するプレッシャーを自らの糧としてこの賞を受賞した。

石井講祐

攻めの姿勢、チーム優先を貫いての初受賞

今回が初受賞となる石井だが、リーグ1年目には1位の42.6%に次ぐ41.8%で3ポイントシュート成功率がリーグ2位であった。「特にBリーグ1年目で最後の最後で2位になってもうちょっとだったので、今年は絶対に取りたいなと思っていて『来た』って感じです(笑)」と、喜びを露わにした。1年目のことを振り返ると、最後の1試合まで1位の金丸とほとんど同率でどちらがタイトルを取るか分からない状況が最後まで続いていた。

石井はこのタイトル争い、レギュラーシーズン最後の試合のことを忘れていない。「1本目が入って成功確率は上がるから、それで止めておけば良かったのにって、周りから言われたこともありました」。当然、スタッツのことは意識していたが、「攻めの姿勢を貫きました」とチームの勝利を優先した。この1年目はタイトル獲得とはならなかったが、この時に得たプレッシャーとの向き合い方や経験が今に生きている。

チャンピオンシップではシュートタッチが悪くはなかったが、なかなか得点に繋がらない場面が多く見られた。その原因について、「どちらかと言うとキャッチ&シュートが多くなっていて、その前の遊びのちょっとした攻めの部分が減ってしまったのかなと。受動的、来たら打つみたいなことが多くなっていたと思います」と、自らのスタンスでプレーできなかったことが大きかったという。

チャンピオンシップでは満足のいくパフォーマンスができなかったと悔やむ姿が印象的だったが、シーズンを全体を通すと、「シュートが入る入らないに関わらず、攻めの姿勢をまず出すことがいろんなことへの循環に繋がると思います。その中で僕はシュート以外の面でも貢献できる強みがあると思っていて、副キャプテンとして試合に出て周りをまとめたり、ゲームの全体の流れを読んでプレーを選択することも役割の一つです」と、3ポイントシュート以外のプレーでも自分の役割を遂行してチームをまとめた。

石井講祐

初めて明かす、夫婦揃っての3ポイントシュート成功率賞

インタビューの終盤で石井が「余談なんですけど」と話し始めた。「実は嫁もWリーグの元選手だったんですけど、3ポイントシュート成功率賞を取ったことあるので、夫婦で受賞したのは史上初なんじゃないかなと思います。史上初じゃなくても珍しいことですよね」と、石井が今シーズンタイトルを獲得したことにより、夫婦揃っての3ポイントシュート成功率賞の受賞になったことをうれしそうに明かした。

今シーズンは、最初からタイトルを取りに行くと公言していたが、その時点で「取ったら夫婦で受賞するのは初だから、実は受賞後のコメントまでイメージしてました(笑)」と、すべて自身のシナリオ通りだったことが分かった。

個人としてかねてからの目標だったベスト3ポイントシュート成功率賞を受賞したが、それで石井の挑戦が終わるわけではない。一度受賞したら、次は2年連続での受賞が目標となる。45%という成功率に対して「それをどんどん自分で超えて行けば、また自ずと取れるタイトルであるかなと思います」と語るとともに、「もうちょっとで50%行けたので、来シーズンの目標は50%ですね」と、早くも来シーズンの目標を語った。

決して派手なプレースタイルではないが、千葉が目指す堅守速攻のスタイルを高い安定感でこなし、さらには高確率の3ポイントシュートでチームに勢いを与える。石井自身が現状に満足せず有言実行を重ねていくことで、彼はより高いレベルへと自らを引き上げていくに違いない。