アーサン・イリヤソバ

チームメートも称賛「彼は正真正銘のプロ」

1974年以来となるNBAファイナル進出を狙うバックスは、ラプターズとのカンファレンス・ファイナルを2勝0敗でリードしている。第1戦では、『ストレッチ5』へのスタイルチェンジに成功したブルック・ロペスが違いを生み出したが、第2戦でも伏兵のアーサン・イリヤソバがベンチ最多となる17得点を記録し、125-103での勝利に貢献した。

イリヤソバは、2005年のドラフト全体36位でバックスから指名された大ベテランで、今シーズン4年ぶりに古巣に復帰。普段はスポットライトを浴びることが少なく黒子に徹しているが、第2戦後の会見には、同じくベンチから13得点を記録したジョージ・ヒル、そしてエースのヤニス・アデトクンボと一緒に出席し、質疑に応じた。

第2戦でのイリヤソバは、右腕にシューティングスリーブを装着してプレーした。普段は着用することがないものの、今後の試合ではゲン担ぎになるかもしれない。その話を振られたイリヤソバは「チームメートにも、『左にも着けた方が良いかもしれない』って冗談を言っていたんだ。そうすれば、30点差で勝てるんじゃないかな」と、笑顔で答えた。

淡々と与えられた役割をこなしている印象のイリヤソバだが、チームメートは絶大な信頼を寄せている。

「チームに復帰して、チームにとって大事なメンバーの一人として活躍しているのだから、すごいこと。いつだって、彼は出場すると軌道修正してくれて、チームのプレーのレベルを上げてくれる。上手く説明できないくらい、チームにとって大事な存在」とロペスが言えば、マルコム・ブログドンも「彼は正真正銘のプロ。特にプレーオフ、良い流れの時には頼りになる。いつも正しいプレーを選択してくれるからね」と、ベテランを称えた。

イリヤソバが以前バックスに所属した2009年から15年までの間、チームは3度プレーオフに進出したが、いずれもファーストラウンドの壁を超えられなかった。NBAファイナル進出が現実味を帯びてきている状況を踏まえ、イリヤソバは「この機会を生かさないといけない」と言う。

「このチームには、素晴らしい選手が集まっている。お互いを信頼しているし、ケミストリーもできあがっている。負けた試合の後でもポジティブな状態を保てている。いつだって、次の試合に集中できている。プレーオフでは、対戦相手がヤニスへの対応を修正してくるけれど、それでも彼はオープンなチームメートにパスを出してくれる。自分たちベンチは、先発と同じだけの熱量で試合に入らないといけない。攻守の両面でね」

派手さはなくとも、イリヤソバは試合に影響を与えられる存在だ。今後の試合でも、バックスにとって嫌な展開になった時に、攻守両面で違いを生み出してくれるに違いない。